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ビジネスプロセス管理 (BPM)、RPA、インテリジェントオートメーション (IA) の違いは?

2020/07/13 コラム



 読者の中にはビジネスプロセス管理 (Business Process Management: BPM) とロボティック・プロセス・オートメーション (RPA)という用語を聞いたことがある方もいるだろう。最近では、インテリジェント・プロセス・オートメーション (Intelligent Process Automation: IPA)、インテリジェントオートメーション (IA)、ハイパーオートメーションという用語も登場する。これらの用語は同じ意味で使用されることもあるが、本来、それぞれには明確な違いがある。

 

用語の定義

  • ビジネスプロセス管理 (BPM): 再エンジニアリングに焦点を当てた運用管理フレームワークであり、エンドツーエンドのビジネスプロセスを変革する。独自の技術を使用して、自動化でプロセスを最適化する。
  • ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA): 人間のデジタル行動を模倣するソフトウェアベースのロボット (ボット) で、繰り返しのタスクを自動化することで、ビジネスプロセスを加速する。人間のデジタル行動の模倣とは、主にパソコン画面の操作のことである。
  • インテリジェント・プロセス・オートメーション (IPA): RPA の進化形で、機械学習 (ML)、自然言語処理 (NLP)、その他の人工知能 (AI) テクノロジを使用してタスクやプロセスを自動化し、時間の経過と同時にこれらの作業を改善する方法を学習する。RPAAIを組み合わせて、認知や人間のような知性を必要とするビジネスプロセスを自動化することができる。ハイパーオートメーションもほぼ同じ意味である。

 

 

テクノロジの進化の軌跡

 最初に市場に出てきたのはBPMである。従来のBPMは、専用のツールもあったものの、ビジネス/ITコンサルティングサービスと共に実施されており、それにはまとまった時間と費用が必要であった。世界のBPM市場は2019年に338,000万ドルで、2025年までに年間平均成長率(CAGR)6.26%50億ドル弱に達すると予測されている。

 

BPMの後にRPAが登場

 RPA は、BPM ツールよりも高度で簡単に実装できる。顧客からの入電や電子メールを起点にしての自動処理、データが更新されたタイミングで自動取得してシステムに自動入力、などの処理を行うことができる。RPA IT部門が関与しなくても導入でき、既存のシステムを改修する必要もない。現場のユーザーは、既存システムをRPAで操作する作業を追加するだけである。RPA市場は2019年には15億ドルであったが、2025年までに71億ドルに達し、27.7%の大きなCAGRになると予想されている。

 

IPAの採用も加速

 IPAはRPAの進化系として徐々に採用が進んでおり、技術が成熟するにつれて数年前には不可能と考えられていたより多くのビジネスプロセスを自動化する可能性が広がることが期待される。世界のIPA市場は、2024年までに11.91%CAGRを見込んでおり、その時点で143億ドルに達する見込みです。

 IPA は RPA を補完し、複雑なビジネス問題を解決するために RPA をより賢くする。AI を使用する IPA では、事前にデータセットの準備と学習の工程が必要になる。データセットは巨大である必要はない。

 大手ベンダーのソリューションは、データサイエンティストでなくとも、AIをプロセスの一部として容易に組み込むことを可能にしている。このAIの民主化」IPAの採用を早めることになるだろう。

 

今日のIPAが可能にするもの

 マッキンゼーによると、本質的に、IPAは「人間からロボットのような作業を解放する」という。従来のルールベースのRPAに加えて、機械学習、ディープラーニング、認知技術の革新によって強化され、ボットは人間のような意思決定を可能な限り模倣することができる。インテリジェント・プロセス・オートメーションを使用する場合のビジネス上の利点を以下に挙げる。

  • プロセスの自動検出: 人工知能を使用することで、ボットは人間の行動を分析して、高いROIが出せる自動化すべきプロセスを特定することができる。これによりビジネスプロセスは、5倍の速度で文書化および処理が可能となる。
  • ビジネスデータのリアルタイム処理: あらゆる業界のビジネスプロセスでは、データ抽出や処理が必要な数百万のドキュメント使われている。人間は文書を読むのに膨大な時間を費やす必要がある。患者の急増と闘う医療従事者は、IPAによりカルテの処理に費やす時間を減らし、患者のケアに多くの時間を費やせるようになる。
  • 顧客満足度向上: 最高品質のカスタマーエクスペリエンスを提供することは、あらゆる組織の一番の重要な目標である。今日のデジタルネイティブ顧客は、デジタルアシスタントやチャットボットなどの、企業と直接つながるための多くの手段を使用している。自然言語処理と感情分析を使用することで、ボットは会話の意味とコンテキストを理解し、要求に迅速に応答することができる。顧客が保険金請求の状況について尋ね、数秒で回答を得ることも可能になる。

 

 RPAやIPAシステムを稼働させ、効果が出るまで、わずか2週間である。RPA IPA は既存のシステムを改変する必要がなく、インフラストラクチャに多大な投資を行う必要がない。喫緊の課題に対してすぐに手を打ちたい場合に有効なソリューションとなるであろう。