RPAプロジェクトにおける部品化の重要性

2020/10/05 コラム



ロボティック・プロセス・オートメーション (Robotic Process Automation : RPA)の導入を複数の端末で行う場合、メンテナンス性をあげるために「ロボットの部品化」という発想が必要になってくる。この場合にどのような手段が取れてどのようなことを注意する必要があるのかについて見て行こう。

開発速度を70%高速化、総保有コストを50%も削減可能な部品化とは

組織内でRPAユーザーが広く使う共通の業務システム (たとえばSalesforce、SAP、Kintoneなど)へのログイン操作や、典型的なシナリオの入出力については、ユーザーひとりひとりが結果的に同じようなものを作成するのは効率が悪いしメンテナンス性もよくない。50人のユーザーが共通の業務システムを使う場合、50人がバラバラにシナリオを作成するのではなく、だれか一人が共通部品を作って、その他のユーザーはその人の部品を利用できるようにしておけば、効率が上がる。

ロボットの部品化にはいくつかのやり方があるのだが、うまくやればRPA導入の際の開発速度を70%も高速化、メンテナンス等にかかるコストも含めた総保有コストを50%も削減することができる。

 

他のロボットをサブルーチンとして呼び出す

一番簡単なやり方、おそらく大半のRPAツールがサポートしているであろう方法は、たとえば業務システムへのログイン操作のみを行う部分を切り出して「サブルーチン」として扱い、他のロボットから必要に応じて呼び出すという方法である。メインのロボットから他のロボットファイルを呼び出して、変数の授受等を通して情報のやり取りをメイン/サブのロボット間で行えるようになっていれば問題ない。

この方法では、通常のロボットを作成するのと同じ方法 (マウスのドラッグ&ドロップでフローチャートをくみ上げたり、画面の記録を行うなど) でサブのロボットを作成することができる。ただし、どのマシンでも動作するように一般化して作成したり、エラー処理を強固にするなど、通常よりは高いスキルレベルを要求されることになる。

また、RPAツールによっては、特にサーバ型でサーバ側にユーザー共通スペースがある。そのような場合は、共通部品はサーバ側のユーザー共通スペースにおいて置き、組織内のRPA情報共有ポータル等で仕様について公開するといった処置を取れば、他のユーザーも使うことができるだろう。

 

ロボット部品のライブラリ/パッケージ化

他のロボットをサブルーチンとして呼び出す方法は最もお手軽である一方、通常のロボット作成の方法では達成できない、高度なプログラミングが必要になる操作がある場合は、ロボット部品のライブラリ/パッケージ化を考えるとよいだろう。

ライブラリ/パッケージとは、大抵のRPAツールでフローチャートの画面の左側等にある、フローチャートの位置ステップとして挿入可能な「一操作」の事である。これの拡張が可能なRPAツールはWinActor、UiPath、Automation Anywhere、Blue Prism等の主要なRPAツールとなる。この形にできると、ユーザーはより自然に部品を利用することが可能となり、部品の中身も閲覧できないようになり隠蔽することができる。

 

パブリックマーケットプレイスからの取得

前の2つは自分たちでロボットの部品を作り出す方法であったが、インターネット上のロボットめーけっとプレイスからできあいの部品をダウンロードして使うことができるRPAツールもある。

UiPath、Automation Anywhere、Blue Prismはそれぞれ自社で「UiPath Go!」「UiPath Connect!」、「Bot Store」、「Blue Prism Digital Exchange」という名前でロボットマーケットプレイスをホスティングしている。WinActorはメーカーのNTT-ATが「プチライブラリ」、協力会社のNTT Dataが「DXマーケットプレイス」という2種類を出している。BizRobo!は協力会社のMAIAが「BizRobo!マーケット」という名前で出している。

それぞれのマーケットプレイスで配布されているのは、先に述べたロボットのサブルーチンであったりライブラリ/パッケージであったり、また値段も無償のもの、有償のものがあるなど、配布内容や価格はさまざまであるが、これらに掲載されているものをうまく活用することで、RPA導入の際の開発スピードの大幅アップ、そしてコスト削減を達成することが可能になるため、うまく活用したいところだ。