テレワーク環境でのRPA運用に求められることとは?

2020/06/09 コラム



コロナ禍で倍増したテレワーク実施企業

 新型コロナ禍で緊急事態宣言突入後、テレワーク/リモートワーク実施率は倍増、東京都内では6割が実施した※1といわれている。緊急事態宣言が解除された今でも、大手IT企業を中心にそのままテレワークを継続しているところは多い。テレワークに移行したのはデスクワークを行う職種が中心だが、普段からテレワークを実施していなかったが、余儀なく移行せざるを得なかった企業は、自宅で使うためのノートPCやビデオ会議サービスを購入したり、ネットワークの増強をしたりということに追われていたようだ。しかし、普段から紙で行っていた帳票の業務はすぐには移行できないため、人数を減らして出勤する対応がとられていたようだ。

 

テレワークに移行して従業員が困ったことは?

 テレワークに移行してから困ったこととして、管理職では部下がさぼっているかもしれないと思う人が6割にのぼるという調査結果※2もある。テレワーク環境下では、「孤独」と「豊かさ」と「生産性」が高まるが、同時に「つながり」と「自律」のスキルが従業員自身に求められる。

 また、新入社員や社歴の浅い社員にとってテレワークは取り組みづらく、お互いが直接コミュニケーションできない分、チームの中や関係者間での「信頼関係」があるかどうかが、テレワーク環境に移行しやすいかどうかを左右しているようだ。

 また、営業職では新規顧客との商談はストップしてしまっていた企業が多いようだ。逆に、既存顧客や普段からの取引先とのコミュニケーションはビデオ会議等で問題なく実施しているケースも多かったようだ。

 

RPAの運用で困ったことは?

 さて、「デジタル従業員」であるRPAについて、どうだったかということをRPA運用企業にヒアリングしてみた。まず、普段から会社内の自分のパソコンでデスクトップ型RPAを運用していたというユーザーは、テレワークになってRPAの運用が全くできなくなってしまったということだ。一方、サーバー型RPAを運用しているユーザーからは、「特に問題なく運用できている」という答えが返ってきた。

 また、共通で聞かれた声としては「堅牢に動作するロボットは問題なく運用できるが、頻繁にエラーになるロボットは運用が難しい、止まってしまう」ということであった。したがって、普段から「止まらないロボット」を作ってリモートから運用できるようにしておくことが、テレワーク環境下でのRPA運用に欠かせないということになる。これは人間の従業員に求められている「自律」「信頼関係」と同じである。

 テレワーク環境で問題なくRPAを運用するには、信頼のおけるサーバー型RPAツールを使い、信頼性の高いロボットの構築を普段から行っておく必要がある。デスクトップ型RPAは、動作しているパソコンにリモートデスクトップでログインして利用することも可能な場合もあるだろうが、セキュリティ上許されていない場合も多いだろう。サーバー型RPAであれば、リモートログインが許されない環境でもスケジュール実行等の管理機能を使って運用を継続することが可能であるからだ。RPAツールと構築方法の両方に「自律」「信頼」が求められるといえるだろう。

 

1 アイティメディア『4月上旬のテレワーク実施率は27% 緊急事態宣言前から2倍に 都内では49%が実施』、日経XTech東京都のテレワーク実施企業が1カ月で急増し6割に、都が調査結果を公表』、日経XTech緊急事態宣言一部解除後も、日本IBM・日立は原則として在宅勤務継続

2 リクルート『テレワーク緊急実態調査2020年4月