ポストコロナの働き方はどうなる?

2020/05/13 コラム



新型コロナによって促進されたテレワーク

 この12カ月の間で、いままでの生活は大きく変わってしまった。新型コロナ前は東京オリンピックに向けて制度こそ作りつつあったもののなかなか実施までたどり着けていない企業が多かったテレワークも、緊急事態宣言が4月頭に出された前後で3回実施された厚生労働省/LINEの調査※1では、オフィスワーカーを中心にテレワーク実施割合が着実に上がってきているのが見て取れる。東京に限ってみると約半分のオフィスワーカーがテレワークに移行したともいわれている。

 実際にどれくらいの割合の企業がテレワークを実施しているのか、その絶対値には議論があるようだが、同じ3回の調査で数字が急激に上がったことから、今回の緊急事態宣言により急激にテレワークを実施する企業が増えたことは間違えないだろう。テレワーク自体は先進的な企業では既に10年以上も前から実施されており、新しい技術ではない。ただし、労務管理、紙と印鑑による業務、社外アクセスのセキュリティなどを理由にテレワーク導入を拒んできた企業が多かった。しかし、今回はオフィスを離れなければならない状況に追い込まれたことで、細かいことは置いておいてテレワークを始めた企業も多いのではないか。

 東京をはじめとする大都市圏で緊急事態宣言がまだ解除されていない5月中旬現在では、Googleトレンドを見ると、世の中ではまだまだテレワーク関連の関心が高い。緊急事態宣言が解除されたとしても、コロナ前と同じ働き方には戻れないといわれている。ワクチンが開発・摂取され、新型コロナウイルスが人類と共存できるようになるまでは、宣言が解除されても第二波、第三波が想定されるためだ。大規模イベントや長距離移動の自粛、また業種業態によっては引き続きの自粛が求められる可能性がある。よって人々や企業は、この新しい行動様式を取り入れたポストコロナの働き方に適用していく必要がある。

進むデジタル化と自動化、新しい行動様式

 今回のコロナ禍で、自社のデジタル化が加速したと考える企業は7割を超えるという調査結果※2も最近発表された。緊急で実施した対策はテレワーク制度導入、そのためのIT環境整備やツールの導入であったが、今後はPC・モバイルデバイスの購入、ネットワークインフラ増強、中長期的に社内外の文書の電子化の対策を打つ予定の企業が多いようだ。そしてこれらの環境がそろえば、よりデジタル化が進み効率的に仕事を進めることができるようになる。いままで仕事効率化の阻害要因のひとつであった紙やFAXに代表される非定型データの利用もデジタルデータで最初からやり取りできるようになると、人を介さず自動化できる部分が飛躍的に多くなる。

 そして、そのような状態でますます活躍するのがRPAである。コロナ禍での業務の様子をRPA導入済みの企業にヒアリングすると、納期変更、期限変更などの突発作業が多く発生し変更量が膨大だったために、既に社内で活用されていたRPA運用体制を利用して短期間で柔軟に作業を完了できた、という声も聞かれた。RPAを普段から活用しておくことで、事業継続の観点からもリスクに柔軟に対応できるようになることも今回の件で証明されたようである。ポストコロナの世界では、生活様式、仕事のやり方を変えていかねばならない点も多く出てくることが予想されるが、突発事項、人手が足りないところは繰り返し業務を中心にデジタルの従業員 (=デジタルワークフォース)に任せて効率よく対応していくことが求められるだろう。

 

※参考1: 第1-3回「新型コロナ対策のための全国調査」からわかったことをお知らせします。 第4回「新型コロナ対策のための全国調査」の実施のお知らせ

※参考2: 「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」の結果発表