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RPAの「雇用形態」を分類してみた

2020/07/06 コラム



 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:Robotic Process Automation)を利用すると「デジタルワークフォース」として、パソコンの中にデジタル従業員が派遣され、手順が決められていて繰り返し行う定型作業等を人間の代わりに実施してくれる。その正体はソフトウェアロボットであり、RPAソフトベンダーから「雇う」ことになる。デジタル従業員に支払う給料はRPAソフトベンダーへの「ライセンス料」にあたる。この給料の払い方、つまり「雇用形態」についてどういうパターンがあるのか、わかりやすい言葉を使いながら分類してみた。

 

1年契約 vs 月次契約

 まず契約期間の長さについてであるが、1年間通年での契約か、月次かに大別される。WinActorUiPathAutomation AnywhereBlue PrismといったメジャーなRPAソフトの多くは1年契約の形を取っている。月次の場合も、無条件で1カ月後に解約できるものはほぼなく、最低利用期間が6カ月などと設定されていたり初期費用 (敷金、礼金のようなもの)を取るもの、稀に作成したロボットの数が一定数以上だと追加で従量課金されるもの (残業代のようなもの)もある。

 月次は、基本的には「RPAが全く初めてなのでちょっとだけ試したい」という場合に良いだろう。ただし、1年契約のものでも30日、60日の無料トライアルを実施しているものもあり、試すのであればそれで事足りてしまうこともある。本格的に利用するなら割安な1年契約のものが良いだろう。

 尚、RPAソフトには買い切りタイプのライセンスは基本「ない」と考えてよい。ごくまれに安い価格帯のもので会きりのものも存在しなくはないが、ごく基本的な機能しかついていないことが多い。RPAは発展途上の分野であり、日々新しいことができるようになるので、従業員と同様に給料は払い続けることになる。

1年契約のメリット

  • 月次契約と両方設定がある場合は、より割安
  • まとまった期間でしっかり取り組める

月次契約のメリット

  • ちょっとだけ試してみることが可能
  • コストの細かい調整が可能

サーバありなし

  デジタル従業員を自動的に管理する仕組みを使うかどうかにより、サーバありなしが決まる。少数の人間が限られた範囲の業務でちょっと使うだけならサーバがなくても成り立つかもしれないが、複数部門にまたがる導入をしだすと、全体を把握しようとすると人間がロボットの管理をしなくてはならなくなり、かえって業務が増えてしまう悪循環に陥る可能性がある。組織内で広げていくのであればサーバは必須の機能となる。サーバは導入する数だけライセンスを求められることが多い。

サーバありのメリット

  • 組織内で広げる場合に必要な管理を自動でやってくれる

サーバなしのメリット

  • 一人が目の届く範囲で使うなら手軽に使える

人間主導型 (Attended) vsサーバ指示型 (Unattended)

 UiPath、Automation Anywhere等が採用している概念であり、人間が操作しているパソコンでロボットを動かすのか、人間が使っていない無人のパソコンにサーバが指示を出してロボットを動かすのか、というロボットの働き方の違いである。Unattended型の利用はサーバ型RPAである必要がある。

 Attended型は人間が働いている時間の間しか動くことができない (18時間)。一方、Unattended型は稼働のさせ方次第では24時間稼働させることが可能だ。このためAttended/Unattended型の両方とも取り組めるシナリオで動かした場合、Unattended型の方が3倍効率が良いことになる。また、リモートワークの環境でもUnattended型なら社内環境で稼働の継続が可能だ。

 「給料」であるライセンス料もこのことを考慮した体系となっているようだ。つまり、Attended型の方が安価に導入できるが、効率を出すにはサーバ型でUnattended型に切り替えて実行するのが良く、一方Attended型は人間とロボットが協業してそれぞれ業務の一部を担当するような場合に利用する。

Attended型のメリット

  • 安価に初期導入が可能
  • 人とロボットの共同作業に最適

Unattended型のメリット

  • 効率よく24時間作業可能
  • リモートワーク等、人が不在でも稼働可能

ユーザーライセンス vs デバイスライセンス、フローティング vs ノードロック、特定ユーザー固定 (Named User)  vs 同時ユーザー接続数 (Concurrent User)

 ライセンスの管理は、ロボットを扱う人間に付与する (ユーザーライセンス) のか、ロボットが稼働するデバイスに付与する (デバイスライセンス) のか、RPAソフトによって考え方が異なる。ここでは代表的なものについてみてみよう。

 ロボットが動作するデバイスを中心に分類する方法は、RPAに限らずさまざまなソフトのライセンス体系で利用される。「ノードロック」は動作するデバイスが固定される。一方、「フローティング」は、ライセンス管理サーバで都度、利用するデバイスをアクティベーションする方法だ。

 一方、ロボットを扱う人間を中心に分類する方法も幅広く使われている。システム上のユーザーアカウントにライセンスを固定する「Named User」、一方、サーバ型RPAではユーザーは固定せずに同時に使える最大数を規定する「Concurrent User」という考え方もある。また、RPAソフトによっては、ユーザーとデバイスの両方の概念を混合して使っているケースもある。

 ライセンス体系は、どの方法が良いかは、適用する業務の種類や対象ユーザーの数などにより千差万別である。既存の業務を変えずにRPAを導入を始めてみた場合、しばらくたって最適化を考える段階で、ライセンス体系をうまく使いこなすように業務を設計することも求められるだろう。

 WinActorはノードロック vs フローティングというデバイス中心の考え方、UiPathは最近ノードロックやConcurrent Userの考え方が廃止されNamed Userのみになり、Automation Anywhereはユーザーとデバイスの両方を管理する方式、BizRobo!とBlue Prismは同時実行数が単位となる。Microsoft Power Automateはユーザーライセンスが基本となっている。

 このように、RPAの「雇用形態」であるライセンス体系は、RPAソフト毎に大きく異なっているため、自社にあったシナリオとライセンス体系を選ぶことが最適なコストで導入するための秘訣となってくるだろう。