RPAというソリューションが流行り始めてからもう4年近く経つことになるが、導入が一巡したといわれる大企業に続いて、そろそろ中堅・中小企業でも導入が本格化してくる時期である。この記事では、中堅・中小企業がRPAを導入する際のポイントについて見ていくことにする。
中小企業でもRPA導入は進んできているがまだ道半ば
2019年11月時点での日本の企業におけるRPA導入率は38%、大企業に限ると51%まで進んでいる※。しかし、一方、中堅・中小企業のRPA導入率は25%程度に留まっている。導入検討中の中堅・中小企業は、毎年5ポイントずつ伸びて44%、導入済みと合わせると約7割が何らかの検討をしていることになる。
中小企業でRPA活用が進む上でのハードル
通常、中堅・中小企業は大企業が導入するITソリューションを横目で見ながら後追いをしていくのが通常であるが、まさに2020年は中堅・中小企業で展開が進む年となるはずである。導入検討中の中堅・中小企業は多いが、実際に導入する際には大企業と異なった導入のハードルが存在する。大きなところ3点挙げてみる。
1. 用語や概念が難しい
大企業ではIT部門 (情シス) がしっかりしており、ITに詳しいメンバーが数人いるため、RPAベンダーや導入パートナーとの会話が成り立つのだが、企業規模が小さくなってくると、他の部門と兼任している担当者もいて、ITの専門知識が必ずしもあるわけではない場合も多い。
その場合、RPAの説明や、関連するパソコン、ネットワーク、クラウド等の会話も大企業の情シスで話されているレベルの内容はまったく理解されないこともある。ITの専門用語を一般の人にもわかるように丁寧に対応できる導入パートナーが間に入って間を取り持つ必要があるだろう。
2. 忙しくて取り掛かる暇がない
中堅・中小企業は大企業と比べて慢性的な人手不足になっていることが多い。情シスも、いわゆる「ひとり情シス」や総務部門からの兼任だったりと、対応できるIT管理者の数が少ない。現場を巻き込もうとしたときにも、現場に「RPA人材」がいないことも多い。
RPAを導入するやり方はいくつか存在する (現場主導、IT主導、経営企画主導、CoE型など)が、ITおよび現場の人材と適切な型を見極めたうえで導入計画を練る必要があるだろう。その際、推進役となるリーダーには「RPAの導入をやり遂げよう」という強い意志をもった人材を配置することがポイントとなる。
3. 効果が小規模になりがち
中堅・中小企業は大企業よりも従業員数が少ないため、何千人もの従業員がかかわるような大規模で効果が見えやすい業務が少ない。導入方法やRPAソフトを間違えると、費用対効果が出ない結果で終わってしまうこともある。継続的に外注を行う必要がなく、ITリテラシーが低くても内製でやっていけるRPAソフトを選択しつつ、クラウド型などハードウェアの投資も最小限で済むようなライトな形態のRPAソフトを選択するとよいだろう。
自分たちの側に立ってくれる良きアドバイザーと計画しよう
以上のことを見てみると、大企業とはまた違った導入のハードルがあることが見えてきただろう。導入の成功には、自分たちと同じ目線に立って導入を支援してくれるアドバイザーの存在が欠かせない。RPAベンダーの導入パートナーから探すこともできるし、「ITコーディネーター」と呼ばれるITと企業経営両方の知識を持ち、経営者の経営戦略を実現する専門家にアドバイスを得るのも手である。