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RPAにまつわる5つの都市伝説

2020/09/07 コラム



 2017年初頭頃から日本ではRPAが流行りはじめ、2019年11月時点での日本の企業におけるRPA導入率は38%、大企業に限ると51%まで進んでいるという※1。

 RPAの採用には大きなメリットがある。日経コンピュータが2019年8~9月に大手90社に対して実施した調査※2によると自動化できたパソコン作業時間の合計は年610万1500時間、3万8100人月におよぶ。財務、事務、人事、営業をはじめとして物流、製造など多様な業務で成果が上がっており、時間の削減だけでなく、人手では無理な業務の実現、業務の集約などの成果も現れてきている。

 これら成功事例が広がっている一方、巷ではRPAに関する誤解がまだまだ残っている。この記事では主な5つの誤解 (都市伝説) について取り上げる。

 

都市伝説その1:RPAは人の仕事を奪う

 よくいわれることの筆頭が「RPAが浸透すると人間は仕事を奪われるのではないか」ということだ。しかし、実際に起こっていることは、従量員の業務内容が改善しているということだ。

 RPAを導入した組織の従業員は、平凡で反復的なタスクから解放され、創造的で戦略的で革新的な興味深い仕事に集中できるようになり、その結果、従業員の仕事満足度が上がっている。米国のフォーブスの調査によると、組織でRPAを導入した結果、従業員の92%が満足していることが判明した。

 また、RPAは新しい雇用機会も生み出している。RPA市場の急成長と同様に、企業はRPAを実装/管理する従業員を積極的に採用している。RPA開発者、RPAアナリスト等のRPA関連の仕事が増加している。

 

都市伝説その2:RPA=金属製ロボット

 別のよくある話が、RPAを「ロボット」と混同するケースである。ロボットという言葉を聞くと、金属製の人間型ロボットがマウスやキーボードを使って仕事をすることをイメージする人もいるだろう。しかし、RPAは金属製ではなくソフトウェアである。人間がマウスやキーボードで日常的に行うデータ入力、クリックとコピーアンドペースト等の画面操作を模倣することで自動化を行う。RPAの実行に金属製のハードウェアは不要である。RPAを表す画像として、よくロボットの画像が用いられているが、誤解を助長するものであり、あまり感心できない。

 

都市伝説その3:RPAのコストが高すぎる

 たしかにRPAは、他のテクノロジーと同様に金銭的投資が必要である。しかしRPAはきちんと実装することでROIを着実に期待できる。RPAに関する多くの研究や事例から、投資を取り返すのに何年もかかる可能性がある他の多くの新興テクノロジーよりもはるかに高速に高いROIを期待できることがわかっている。

 VBAやPythonなどの無償の自動化ツールのほうが安いのではないかという議論もよくみられるが、ツール費用が安い分それを開発、運用するエンジニアの人件費が事実上高額にかかっており、またRPAは実装を計画してから完了するまでの日程が数日と短く済むことも特徴として挙げられる。

 

都市伝説その4:RPAはコスト削減にのみ有効

 RPAの導入は、よくコスト削減にのみ焦点が当てられることがあるが、それは間違いだ。実はRPAを導入した多くの組織がコスト削減だけではなく、他のさらに重要な利点をすぐに見出している。

 コスト削減効果以外のRPAの利点とはたとえば以下のようなものだ。

  • 運用効率の向上: RPAを使うことで不要なタスクと遅延が排除され、物事がより速く進むようになる。
  • 従業員の生産性向上: 従業員との対話型のロボット (Attended型という) を活用することで、面倒で反復的な作業を排除することができる。これにより時には桁違いに従業員の生産性を高めることができる。
  • エラーの排除: ロボットの活用で、人間の作業よりもミスを少なくすることができる。退屈で反復的なプロセスはエラーを生みやすいが、RPAは毎回完璧にそれを実行できる。
  • 顧客サービス品質/満足度向上:顧客サービスの提供プロセスにRPAを活用して一部を自動化自動化すれば、顧客の質問に対してより高速でエラーのない結果を返すことができる。これにより顧客満足度が向上する。また、ボットは質問があったすべての情報を集約できるため、サービス内容の均一化、品質向上も期待できる。
  • コンプライアンス向上: RPAのすべてのアクティビティを自動的に履歴として保存するようにしておけば、内部監査、業界規制、または政府規制に準拠させることも容易となる。
  • 従業員の心理的健康: 単純作業を行うために従業員が遅くまで残業したり、機微な情報を扱うことで精神的に疲れたりといったことをRPAにやらせることで軽減することができ、従業員の心の満足度を上げることができる。
  • 人間ではできなかった作業の実現: RPAを活用することで、たとえばログイン情報の全数チェックなど人間がやろうとするととてつもない工数がかかり実際には行えていなかったことができるようになる。

 

都市伝説その5:RPAは単純なタスクのためだけのもの

 いままでの内容は従来のRPAについてのものであった。しかし、RPAの活用はこれらだけにはとどまらない。機械学習や自然言語処理などの人工知能(AI)テクノロジーを融合することで、「インテリジェント・オートメーション」を実現することができる。これにより、エンドツーエンドのビジネスプロセス自動化を行い、はるかに複雑なタスクを自動化することができるようになる。

 インテリジェント・オートメーションでは、構造化データに留まらず、紙に書かれた情報などの非構造化データをも取得、分析し、それに基づいて意思決定を行い、そこから学習することができる。そして、取り込むデータが増えるほど、学習により仕事の精度が向上する。インテリジェント・オートメーションで処理できる非構造化データには、他にも人間のチャット、音声、動画、ソーシャルメディア等が含まれ、RPAの範囲を大幅に拡大することができる。

 

 最後に、これらのRPA、インテリジェント・オートメーションは、多くの企業で導入されつつあり、貴方の競合他社が既にこれらを使用している可能性も高くなってきている。RPAやインテリジェント・オートメーションをいち早く導入することで、他社に比べて競争優位に立ち、デジタルトランスフォーメーションを進めていくためのきっかけを早く作ることができるようになるだろう。

 

※1 MM総研『RPA国内利用動向調査2020』

※2 日経コンピュータ 2019.10.31 『RPA大調査90社が明かした成果・実態・工夫』