概況
2016年頃から大きく注目され始めたRPAであるが、2020年代に入りトレンドも大きく進化しようとしている。Gartnerは2月、日本のRPAはハイプ・サイクルにおける「過度な期待」のピーク期を抜け、幻滅期の底に向かっていると発表した※。ただし、これは多くの企業がRPAに幻滅してやめてしまったわけではなく、これまで検証目的や一部業務に限定してRPAを採用してきた企業の多くが、社内の適用範囲を拡大すべく取り組み始めていることを意味する。
適用が静かに拡大していることに加え、RPAベンダーも2020年前半はIT大手であるマイクロソフトとIBMがRPAプロバイダーを買収してRPA市場に参入し、プレイヤーの構図が今後大きく塗り替えられる可能性が出てきた。
2020/05/19: マイクロソフト、RPAプラットフォームのSoftomotive買収
2020/07/08: IBMがWDG Automation買収により、AIを組み込んだ企業向けオートメーション機能を促進
これらはいずれもデスクトップ型RPAであり、RPA市場のうちローエンドの市場に食い込もうとしているのであろう。
また、RPA5大ベンダーにも様々な動きがあった。
WinActor
2020/01/28: NTT-ATのRPAツール「WinActor Ver.7.0」、処理速度向上やUI・UX改善を実施
2020/05/01: NTTデータ、地方公共団体にAI-OCRやRPAのサービスを無償提供
2020/05/21: WinActor導入企業数が5,000社を突破
2020/06/11: NTT-ATが「WinActorシナリオセンタ」を設立、エンタープライズ向けシナリオの開発・提供を図る
UiPath
2020/02/27: UiPath社、現場業務の「見える化」を実現するUiPath Explorer Expertを日本で提供開始
2020/02/27: UiPath社、機械学習を利用してRPAの活用度合いを予測・可視化する「UiPath Insights」を日本で提供開始
2020/05/27: UiPath社、自社クラウドサービスでUiPath Orchestrator機能を販売開始
2020/05/27: UiPath社、現場主導の業務自動化を実現するStudioXを販売開始
2020/07/13: UiPath社、2億2,500万ドルのシリーズE資金調達ラウンドを完了
2020/07/27: UiPath社、日本のソフトウェアテスト市場に新たに参入
BizRobo!
2020/06/16: RPAテクノロジーズ「BizRobo! Basic」新バージョンを2020年6月15日(月)より提供開始
2020/06/18: RPAテクノロジーズ、最新の電子ペーパーソリューション「BizRobo! Paper-free」クラウドサービス 2020年6月18日より提供開始
Automation Anywhere
2020/03/10: オートメーション・エニウェア、世界初の統合プロセス ディスカバリー ソリューションを提供へ
2020/04/08: オートメーション・エニウェア、RPA 業界初の Bot セキュリティプログラムを発表
2020/06/23: オートメーション・エニウェアの RPA Bot マーケットプレイスが日本語で利用可能に
2020/07/02: オートメーション・エニウェア、AIソリューション「IQ Bot」のOCR対応を強化 「Google Cloud Vision API」が利用可能に
Blue Prism
2020/01/16: Blue Prismが新しいSaaSオファリングをリリース
2020/02/21: Blue Prism と AI inside が技術提携パートナー契約を締結
2020/02/28: Blue Prism v6.7 リリースのお知らせ
2020/04/22: Blue Prismが1億ポンド(約134億円)の資金調達を発表
2020/06/23: Blue Prism、好調なクラウドビジネスにより収益伸び率70 % 顧客維持率も依然好調
これらのベンダーの他にも、様々な新規ベンダーが市場に参入してきている。ユーザーにとっては短期的には様々な選択肢が生まれそうで歓迎すべきことであるが、今年後半から来年にかけてはRPA市場における淘汰や統合の動きも加速していく可能性があるだろう。