取締役 総務部長 和賀彰様(写真左)
総務部 総務課 係長 増田一樹様(写真右)
Contents
概要
一誠商事株式会社では、バックオフィス業務を効率化するためにRPAツール「Automation Anywhere」を活用した業務の自動化を進めました。その結果、基幹業務システムから会計システムへのデータ取込業務や元帳出力業務などで大幅な負担軽減を実現させました。今後はフロントの職員が行っている事務作業も、できるだけバックオフィスで引き受けることができるように改革を進めていく計画です。
課題
働き方改革の必要性を感じながらも、具体的な方法が分からなかった
一誠商事株式会社は、茨城県つくば市に本社を構える総合不動産企業です。地域密着型の企業として、不動産の売買や仲介、賃貸管理などの一般的な不動産業務に加えて、リフォーム、リノベーションや空き地の利活用、アパート経営の提案などの企画・提案型の不動産コンサルティングのサービスを提供しています。
同社の総務部総務課では、経理業務に加えて、社内売上等の取りまとめや分析等の経営企画、採用や広報など、バックオフィス業務全般を担っています。ここ数年、事業が急速に拡大して店舗も増加し、組織も変わっていくなか、総務部門の仕事が属人化し業務分担も曖昧になっていました。IT導入も進んでいなかったため、ジョブローテーションが難しく、急な退職や引き継ぎの対応も難しいという状況でした。
「働き方改革が求められる中、社員がなるべく定時に帰れるようにするなど、数多くの課題を抱えていました。これらの課題解決のためには、仕事のやり方そのものを変えなければならないと考えてはいましたが、具体的なやり方は見つかっていませんでした」(増田氏)
お話をお伺いした増田様
ソリューション
RPA化の対象とする業務を3つに絞り、スピーディーに開発
そんななか、税務顧問である税理士法人ビジネスナビゲーションから、RPAの導入をはじめとする業務効率化コンサルティングサービスを提供しているASIMOV ROBOTICS株式会社(以下、ASIMOV)を紹介されました。信頼関係のある税務顧問からの紹介ということもありましたが、ASIMOVがヒアリングを通じてRPA化する作業を選定し、ロボットの開発、導入後の管理、メンテナンスまでワンストップでサポートできることから、ITパートナーとして選定することにしました。
ASIMOVが採用しているRPAツール『Automation Anywhere』も大きなポイントでした。弊社IT部門で他社のRPAツールも検討しましたが、できる事や処理スピードの面で圧倒的に勝っているという評価となりました。
ASIMOVとのディスカッションを進めるなかで同社は、今回RPA化する業務として「基幹業務システムから会計システムへのデータ取込業務」「元帳出力業務」「会議資料作成業務」の3つを定め、具体的な作業を進めることとしました。
詳細
業務フローをチェックしロボット開発を進める
基幹業務システムから会計システムへのデータ取込業務は、これまで「J-Rent」という不動産管理システムから紙で出力された売上データを手打ちで会計システムへ入力していました。入力には、データを加工する必要があり、かなり手間のかかる作業でした。パート従業員が入れ替わると業務が渋滞してしまうというケースもありました。
元帳出力業務は、経理締め後の元帳を部店ごとに出力し、各部店に配信する業務です。12部店あるため量が多く、1回1回出力の設定をしなければならず大きな手間がかかっていました。手分けをして作業していたものの、メンバーが休むと業務が止まってしまうこともしばしばありました。
会議資料作成業務は、部店ごとに提出されるExcelを1つのファイルにまとめる作業です。合計3シートにまとめる作業で、似たような作業を全部で35回繰り返す必要があり大きな負担となっていました。
総務部総務課とASIMOVは、これらの作業フローを再チェックしたのちAutomation Anywhereでロボットを開発し、順次業務に適用していきました。
結果
対象業務すべてで大幅な効率化を実現、社員の意識も変化
こうした取り組みの結果、基幹業務システムから会計システムへのデータ取込業務では、毎日最低でも1時間、多い日は4時間程度かかっていたものが、RPA化によって10数分で終わるようになりました。この業務では、90%の工数は削減でき、疲れからくるヒューマンエラーもなくなりました。
元帳出力業務ではこれまで部店あたり20~30分、合計で4~6時間かかっていましたが、RPA化した現在では部店あたり5分で終わるようになりました。監視しておく必要もないので、圧倒的に負担が減っています。
会議資料作成業務では、月に60分程度かかっていたものが、今はボタンを押すだけで、約5分で終わります。チェックに時間を割けるようになり、仕事の精度向上につながっています。
ロボットが稼働を開始し、総務部の他のメンバーも感覚が分かってきたことで、自発的な改善提案が出てくるようになるなど、従業員の意識にも変化が生じてきています。
今後
ロボットによる効率化を進め、事務作業の負担を全社的に軽減
今後の取り組みについては、まずはバックオフィスの効率化を進め、余裕がでてきたら、現在フロントの営業担当者や物件管理担当者が行っている事務作業を総務部が引き取る計画です。これによって、営業担当者も物件管理担当者も、各自の本来の業務に集中できるようになります。
総務部では業務の効率化が進んでいくことは、サービス品質が向上し、会社の業績向上につながると考えており、自らが推進役となってRPA活用を全社的にスケールしていく考えです。
一誠商事株式会社 https://www.issei-syoji.co.jp/
ASIMOV ROBOTICS(アシモフ ロボティクス)株式会社 https://asimov-robo.com/
税理士法人ビジネスナビゲーション https://bn-tax.com