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税理士法人JCタックス:RPA化による業務の自動化で、専門知識を活かした判断やアドバイス業務に集中できる環境に

2020/09/02 トピックス, 導入事例



パートナー/公認会計士 永峰潤様(写真中央)

会計グループ パートナー 西進也様(写真左)

国際税務グループ アシスタントマネジャー 吉田圭佑様(写真右)

 

概要

 税理士法人JCタックスは、RPAによる自動化により、繁忙期の法人税申請書の送信業務等の処理を大幅に削減。これにより夜間に集中しがちだった業務を大幅に削減し、繁忙期に人員を雇う必要もなくなりました。RPA化を進めることで人為的なミスを削減するとともに、業務の多くを専門職以外の人でもこなせるようにすることで、専門職の職員は知識を活かした判断やアドバイス業務に集中できるようになりました。

 

課題

生産性改革に取り組むも、RPA担当者に業務が集中

 税理士法人JCタックスは、東京都千代田区に拠点を構える税理士法人で、外資系企業の会計税務をはじめとしたバックオフィスの代行サービスを提供しています。

 

 「クライアントの業種は様々ですが、米国企業がほとんどでIT関連業種のウェイトが高いのが特徴です。日本の従業員様が営業、マーケティング、保守サポートに専念できるように、ほとんどの仕事が海外本社のスタッフとメールや電話会議で行なっています。現在300社を超える外資系企業のクライアントにサービスを提供しています」(西氏)

お話をお伺いした西様

 

 同法人は設立から30年以上経っていることもあって紙に依存する業務プロセスが多く、デジタル化の流れに遅れないよう、昨年から「デジタル・サバイバル・プラン」を発動させ、業務の標準化を通して生産性改革に取り組んできました。

 

 会計システムをクラウド化させ、その延長線上に社内の請求書発行業務やクラウド会計記帳前のデータ整理業務のために、デスクトップ型RPAを3ライセンス導入しました。さらに法人税申告業務もRPA化したいと考えましたが、ここで問題が発生しました。RPA担当者に業務が集中してしまい、業務が回せない状況に陥ってしまったのです。

 

ソリューション

税務申告業務の流れを熟知したITパートナーとの出会い

 実現したいRPA化はたくさんあるにもかかわらず、なかなか迅速に進まない状況下で出会ったのが、ITパートナーであるASIMOV ROBOTICS株式会社(以下ASIMOV)です。ASIMOVをパートナーとして選択した理由の1つが、税理士事務所をルーツにもっていることです。会計・税務の専門用語や税務申告業務の流れを熟知しているため、理解力があり打ち合わせの時間を抑えることができると考えたからです。また、同法人が利用している税務申告ソフト「達人シリーズ」のRPAロボット開発の実績があったことや、業務の整理の姿勢が同法人に極めてフィットしていた点も大きな理由となりました。

 

 RPA化の前に重要なのは業務の整理ですので、専門業務を理解していただいた上での業務整理は非常に助かりました。そして何より、税務申告業務のRPA化を開発から管理・運用までワンストップでお願いできるのは最大の魅力でした。実は、今年の繁忙期は業務量が急激に増えていたのでRPAが必要でした。ですが、会計業務のRPA化で手がいっぱいで税務業務まで間に合いそうもなかったのです。ASIMOVに出会ったことで、繁忙期をなんとか乗り切ることができました。

 

詳細

RPA化すべき業務を洗い出し「Automation Anywhere」で自動化

 ASIMOVからRPAツールの「Automation Anywhere」を紹介され、法人税申請書の送信業務などの自動化を進めていくことになりました。同法人では大きく分けて2つの視点でRPA化すべき業務を洗い出しました。

 

 1つ目は、顧問先の決算期が集中する繁忙期(外資系企業の決算期は12月に集中)の法人税申告書作成や申告業務等、毎年どうしても人手が足りなくなる業務でソフトの操作やデータファイリングが主なものとなります。

 

 この業務は端的に言うと、普段なら定時で帰れるのにその業務があるために残業になってしまう業務です。ミスが起きれば修正のためにさらに残業が増えてしまいますが、ロボットであればそもそもヒューマンエラーがなくなるので、残業が増えることもありません。また、多くの場合、新人や勤続年数が浅いメンバーが担当することが多い業務ですので、人が入れ替わると当然、引き継ぎが発生しますが、RPAであれば一度教えれば引き継ぎ時間が不要になります。

 

 2つ目は、業務の標準化を行うことによって属人化を防止できる業務です。経理や申告の業務は結果が同じにならないといけないのに、その結果に至るまでのプロセスが無駄に複雑化・属人化します。そこでASIMOVと共同してプロセスをシンプルかつ共通化することによって、RPA化できる領域を特定していきました。

ASIMOV担当者とのディスカッション

 

結果

業務の標準化が進み職員はより高度なサービスに集中

 こうした取り組みの結果、繁忙期の法人税申請書の送信業務等の処理は8時間/日が2時間/日にまで激減しました。おかげで夜に集中しがちな業務を大幅に減らし、繁忙期の処理のために外部から人を雇う必要もなくなりました。

 

 またこれらの作業は従来専門職でなければできないという先入観がありましたが、RPA化によって専門職外の人でもこなせるように標準化が進み、ミスも減少しました。そのおかげで、職員は専門知識を活かした判断やアドバイス業務に集中できるようになったのです。

 

 同法人では、開発していく中でASIMOVの開発担当者が業務の流れをうまく引き出してくれたため、シナリオづくりのポイントを素早く整理しながら進めていけたとしています。また同法人が想定していなかった業務改善につながったフローもあり、外部のパートナーの素朴な質問が無駄な業務や遠回りをしていたプロセスをあぶり出すよい機会になったと評価しています。

 

今後

デジタル化により、クライアントには見えない作業時間を削減

 同法人では今後、RPAの領域をより広げていく計画です。

 

 現在の業務フローでは限界があるため、業務のシンプル化を進める必要が出てきています。しかし、業務のシンプル化は、提供するサービスが低下するのではないかとクライアントの不満を呼び込む恐れがあります。

 

 そこで同法人では、他の会計事務所では提供できない顧客体験を提供できるように、Automation Anywhereによる自動化によってクライアントには見えない作業時間を削減することで、クライアントとのコミュニケーションの時間を創出していきたいと考えています。

 

 

税理士法人JCタックス https://nagamine-mishima.jp/

ASIMOV ROBOTICS(アシモフ ロボティクス)株式会社  https://asimov-robo.com/