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スチールプランテックがRPA導入により、 年間約3000時間の削減効果 組織横断の「ロボガール」が内製化体制と 社員のモチベーション向上に貢献

2023/01/17 スライダー, トピックス, 導入事例



組織の概要

製鉄プラントエンジニアリングメーカーであるスチールプランテック株式会社は、「業務プロセス改革」の一環としてRPA 導入を決定。2018年度に女性社員6 名によりRPAワーキンググループを発足し、「ロボガール」と称してRPAの活用を進めています。

課題

業務プロセスの見直しにより「気持ちよく働ける」環境構築を目標に

スチールプランテック株式会社は、2017年11 月に策定された中期経営計画の中で「業務プロセス改革」を掲げました。同社 企画管理部 経営企画室の櫻井 まゆ氏は、「業務効率化、業務品質向上を実現するため、業務プロセス改革の一つとして、RPA導入がテーマに掲げられた」と話します。
RPA導入前には大きく、「業務の見える化ができていない」「ホワイトカラーの定型業務に担当者の固定化、属人化があった」「他の部門の業務内容を知る機会が少ない」という3つの課題がありました。こうした課題に対し、2018年4月に 経理、人事総務、調達、営業、技術部門などの女性社員により、「ロボガール」と称するRPAワーキンググループ(WG)が発足。同社 企画管理部 経営企画室 室長の広瀬 友行氏は、WGではRPA導入の「目的と手段の明確化」を行ったと話します。

スチールプランテック株式会社
企画管理部 経営企画室 室長
広瀬 友行氏

広瀬氏は、RPA導入の目的として「定型業務削減で生み出された時間で一人ひとりがモチベーションアップできるような環境を作ること」とともに、「RPA導入によりスキルアップのための時間を創出し、女性社員活躍の機会を拡大すること」が掲げられたと説明します。
WGでは業務プロセスの洗い出し、見直しを行い、RPA 適用業務として約60業務をピックアップ。その中から改善手段の仕分けなどを行い、RPA 対象業務を絞り込んでいきました。

ソリューション

操作性の高さとパートナーの手厚い内製化支援提案が決め手に

並行してRPAツールの選定を実施。櫻井氏は「Automation Anywhere含め3 社のRPAソリューションをトライアルした」とし、「自社システムとの連携性」「専門知識を持たない担当者でも扱える操作性の高さ」などのポイントで比較検討したと話しました。
Automation Anywhereが優れていたのは、1つめは「操作のしやすさ」で、2つめは「エラーが起きたときの停止理由がわかりやすい」点でした。また、録画記録ができるなど「性能面の優位性」に加えて、パートナーであるコムチュア株式会社の技術支援の手厚さも特筆すべきものでした。
質疑に対するスピーディな回答だけでなく「内製化を見据えていたので、導入後も、ボットの作成について定期的にハンズオン形式の技術勉強会を開催するなどの提案を行ってくれたのが心強かった」と櫻井氏は述べました。ランニングコストなどの費用面を総合的に勘案して、2018年10月にAutomation Anywhere の導入が決定しました。

詳細

ロボガール活動を通じて成功体験を重ね、次の開発に生かすサイクルが確立

2018年度中のロボット稼働に向けて、ロボット作成が開始されました。毎週水曜日午後を定例のWG活動日として確保。週に1 回、ロボガールが定例的に集まる機会を設け、コムチュアによる技術勉強会のほか、「RPAに興味のあるメンバーを随時、呼んで情報共有や事例発表などの交流を行った」ということです。

スチールプランテック株式会社
企画管理部 経営企画室
櫻井 まゆ氏

このような内製化に向けた体制整備によって、徐々にロボット作成を経験する社員が増え、RPA作成を自走できる体制が整っていきました。また、社内に向けた広報、啓発活動としては、社内ポータルの中に「RPA 鐵子の部屋」という専用ページを開設、「RPAとは何か」から社内に発信しました。
こうした活動の継続によって、コムチュアのRPA 講習を受けながらRPAに触れ、ロボット作成に携わる社員も増えていきました。最近では、「小さな成功事例を重ねながら、ロボットの汎用性の高さ、モジュール化して別の業務に流用できる」ようRPA 対象の業務選定も変わってきており、ロボット作成は4時間程度で完成することもあるとのことです。

結果

44のロボットが稼働、削減時間は年間2740時間にのぼる

現在は、44のロボットが稼働中、削減時間が年間で2740時間にのぼります。また、全社にまたがる業務のRPA化を進めた結果、「適用済み部門という意味では、ほぼ全部門に関係、浸透している」状況だと櫻井氏は話します。
RPA導入の定性的な効果としては、「ロボット作成の経験値が社内に蓄積されることで、業務改善に関する考え方、意識が変わり、社内風土の変革につながってきた」点が挙げられます。
また、内製化の効果について、櫻井氏は「業務に携わる担当者が自分でロボットの作成を覚えると、そこから業務自体をシンプルにするにはどうしたらよいか、というところに意識が向き、工夫が生まれる」と話します。現場の当事者が改善、改革の担い手としての意識を高めることにつながったことが内製化の最大のメリットだということです。

 

今後の展望

システム間連携によるデータ活用のツールとしても期待

今後は「2022年度の当社のビジネスプランの中に『リスキリング』というキーワードがある」とし、リスキリングに適したRPAに参加する人をさらに増やしていきたいと櫻井氏は話しました。
また、エンジニアリング業務管理を担うPMS(プロジェクト管理システム)をはじめ、システム間連携にも積極的にRPAを活用し、業務改善のツールから、「今後はシステム間連携による、さらなるデータ活用の領域にもユースケースを広げていきたい」と広瀬氏は話しました。そこで、「今後も社員のスキルアップのためのサポートを継続的にコムチュアにお願いしたい」とのことです。
最後に、DXや社内の業務改革に課題を感じる組織にアドバイスとして、櫻井氏は「業務改革はすべての社員の取り組みだ」とした上で、「RPAは成功体験を積み重ねやすく、導入効果を実感しやすい」と、意識の変化と向上に活用してもらいたいと話しました。
広瀬氏は、「当社の場合、削減時間に目標をフォーカスせず、個人のスキルアップにフォーカスした目標設定を行うことで、改善への前向きな意識を醸成することができた」と話し、RPAを社員のモチベーションアップと業務効率化を両立するツールとして活用してほしいと締めくくりました。

 

事例制作協力:コムチュア株式会社

コムチュア株式会社とは:
コムチュア株式会社は、東京都品川区大崎に本社を置く日本のソフトウェア会社。
クラウドサービスの開発や導入支援をはじめとした、ITソリューション事業を手がける。
Automation Anywhereの構築業務の実績も多く、RPAの推進業務を支援します。
詳細については、https://www.comture.com/groupware/rpa.htmlをご覧ください。

問い合わせ先:コムチュアRPA担当まで comture-aa@comture.com