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デリカフーズ:人事・給与・勤怠の3つのクラウドサービスを、RPAで連携。毎月100人以上の入退社処理を自動化

2020/08/26 導入事例



お話をおうかがいした方:

社長室室長 兼 経営企画室室長 神永恵也様(写真右)

東京事務所 経理課主任 山岸義和様(写真左)

東京事務所 総務課 栗原由希子様(写真中央)

 

概要

 食品加工業を展開するデリカフーズでは、勤怠管理システムのリプレースに伴い、労務管理・給与計算・勤怠管理の3つのクラウドサービスの利用を決定し、これらのデータを連携したいと考えていました。しかし、API連携が完全に実施できないため、Automation AnywhereのRPAツールを活用することで、労務管理システムに社員自身が登録したデータを、給与計算システムや勤怠管理システムに連携できるようにしました。その結果、毎月100人以上の入退社の処理を自動化するとともに、新型コロナ対応に伴う約1,600人分の雇用調整助成金の処理も一晩で実行できました。

 

課題

複数のクラウドサービスを連携して使いたい

 デリカフーズ株式会社は、東京本社を中心に全国に11カ所の工場や物流拠点、研究所などの関連会社を展開しており、カット野菜の製造販売における国内トップの実績を有しています。   同社管理部総務課では、入退社手続き、社会保険の申請から給与計算といった労務に関する業務全体を担当しています。グループ全体で約3,500名の従業員は、工場のパートを中心に毎月100名前後の入退社があり、外国人も多く含まれています。そのため、従業員データの登録やマスター整備には大きな手間がかかります。   そんななか、これまで利用していた勤怠管理システムの保守契約が切れ、法改正への対応ができなくなったことから、目前に迫っていた年末調整にあたってシステムをどのように刷新するかを検討することとなりました。多拠点の管理を東京本社に統合し、大規模な人事・給与の統合パッケージシステムの導入を検討したものの、納期や価格面で現実的ではありませんでした。   そこで検討されたのが、デリカフーズのグループ会社で既に利用して評価も高かった3つのクラウドサービスを活用するというアイデアです。具体的には、勤怠管理システム「KING OF TIME」(以下KOT)、給与計算システム「マネーフォワードクラウド給与」(以下MFC給与)、労務管理システム「SmartHR」(以下SHR)を利用するというものです。   しかし、3つのクラウドサービスを導入するうえでは、解決すべき課題も残されていました。それは、各サービス間でのAPI連携が完全ではなく、一部CSVファイルでの連携作業や大量の手作業が必要だということです。

 

ソリューション

APIでは難しいサービス連携を、RPAで実現

 こうした状況のなか、グループ会社に3つのクラウドサービスの導入支援を行った株式会社BN Smart Back Officeと同社のグループ会社であるASIMOV ROBOTICS株式会社(以下ASIMOV)から、「API連携できない部分を、RPAツールのAutomation Anywhereを使って連携させてはどうか」という提案がなされました。労務管理のSHRに社員自身が登録した情報を、給与計算のMFC給与や勤怠管理のKOTに連携するというものです。   RPAによる連携ができなければ、毎月100名前後発生するパートの入退社があるたびに、3つのクラウドサービスに基本データを入力したり、削除したりする必要がでてきます。これは大きな労力の無駄であり、入力ミスを引き起こすリスクも発生します。これをRPAロボットが代わりとなって作業することで、データを自動で連携し、あたかも1つのシステムのように利用できるようになります。

 

詳細

クラウドサービス導入とロボット開発を同時並行で実施

 こうして3つのクラウドサービスの導入と同時に、RPA用のロボット開発を同時に開始することになりました。例えば、SHRとMFC給与のデータ連携では172項目中22項目のみがAPI連携可能で、残り150項目についてはRPAによる連携が必要でした。しかしロボット開発については、デリカフーズ社内の人材を頼ることは困難でした。   「当社では他部門で既にRPAが導入されていましたが、彼らの部門内での開発・運用に手一杯で、管理部用にロボットを作ってもらうのは無理な状況だったのです」(神永氏)

 そこで力となったのが、ASIMOVです。ASIMOVが、クラウドサービスの導入支援を行うBN Smart Back Officeと連絡を取りながらワンストップで開発・導入を全て引き受けてくれることになり、本格的に導入支援を依頼することになったのです。

 

結果

3,500人の給与計算、1,600名分の雇用調整助成金の処理をRPAで自動化

 パートの入退社の処理をRPAロボットが実行することで、入退社の度に同じ情報をあちこちに入力する必要がなくなりました。SHR、MFC給与、KOTという3つのクラウドサービスを生かすためにも、RPAは欠かすことのできない存在となっています。   「毎月100人以上の入退社の処理を自動化し、3,500人の会社で給与計算を私一人でこなせているのも、RPAのおかげです」(栗原氏)

 また、導入後、RPAの威力を知ることとなったのは、新型コロナウイルスの影響で雇用調整助成金などの予想外の処理が必要になったときのことです。社員の欠勤控除と休業手当の処理を1,600名分入力しなければならないことになり、初めてのことでもあり要領がつかめず、とても間に合わないだろうと諦めかけていたと栗原氏氏は振り返ります。   「しかし、すぐにASIMOVに相談してロボットで夜間対応してもらったのです。おかげで、一晩で処理が終わりました。朝出勤した時に終わっているのを見た時には本当に感動しました。間に合ったどころか、1.5日も前倒しで完了し、しっかりチェックする時間もとれました」(栗原氏)

今後

管理業務の標準化を進めるためにRPAを活用

 デリカフーズでは、業務効率化を段階的に進めるための相談窓口として、ASIMOVのマンスリーコンサルティングも活用しています。ASIMOVは会計事務所がルーツということもあり、会計・税務に関連することも含めたITの相談ができるのも大きなメリットとなっています。ミーティングでディスカッションしたアイデアを経営会議で提案し、大きな成果につながったこともあります。   今後は、管理部門全体を視野に入れた社内の業務効率化を進めていきたいと山岸氏は話します。合併を繰り返して成長してきたデリカフーズでは、現在、各拠点の管理業務の標準化を進め、管理部門を1つに統合することを目指しています。RPA導入による業務効率化は、そうした目標の実現に大きく貢献するものになるに違いありません。

 

 

株式会社BN Smart Back Offics  http://bn-smartbackoffice.com/

ASIMOV ROBOTICS(アシモフ ロボティクス)株式会社  https://asimov-robo.com