新型コロナウイルスと共存しながら経済活動を再開していくフェーズにある日本の企業では、どのようなことを考えているのだろうか。調査会社のITRが5月中旬、企業のIT動向に関する影響調査の結果を公表した※1。調査は2020年4月24日から同月27日にかけて実施されたものだ。
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変われない企業は生き残れない!
まず目を引いたのは約7割の企業が新型コロナウイルスの感染対策は、IT戦略遂行の加速要因になると回答したことだ。調査が行われた時期は、まさに緊急事態宣言でStay Homeの自粛をしている真っただ中だった。自粛が解除されても、ワクチンなどの大局を変えるような有効な解決策が出てくるまでは今後もテレワークを強いられる可能性が高い。Stay Homeの状況でも業務を継続できないと会社機能がマヒしてしまう。そしてその鍵はIT戦略が多くを握っている。まさに変われない企業は生き残れないことを悟っての回答だと言えるだろう。
緊急に実施したのは「テレワーク制度の導入」、今後は文書の電子化拡大
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急に実施した対策の内容を見てみると、一番多かったのは「テレワーク関連」(制度の導入、リモートアクセス環境、コミュニケーションツール、PC・モバイル追加、ネットワークインフラ増強、BYOD許可)だ。まずは自宅から働ける環境の構築が急務だったということだろう。
次に多かったのが社外取引文書 (契約書など)や社内文書 (申請書など)の「文書の電子化対象拡大」だ。テレワークをしてみて一番の障害になったのが、普段は紙で行っていた業務が自宅では行いにくいということだろう。TDMテレワーク実行委員会が実施したアンケートでは、完全テレワークを徹底していても、定例的な請求手続きや捺印等の処理のために月末に出社する社員がいる企業が6割を超えることが明らかになっていた。
また、セキュリティ対策やファイルサーバ・基幹システムのクラウド化など、インフラの増強やクラウド化による対応も実施を検討しているところが多いようだ。
第二波に備えた事業継続体制の構築が急務に、基幹定型業務の50%以上を自動化せよ
別途行われたアンケート調査※2によると、「業務の自動化」に関心を持っている企業は「文書の電子化」や「セキュリティ対策」に次ぐ順位だったという。日本企業の多くは3月が決算でもあったため、追い込み業務が新型コロナで大きな影響を受けた企業もあったが、RPAを全社的に導入していた企業では、突発的な業務の増加を、RPAで短期間の間に回避できていたところも多かったようだ。
RPAを使うと、テレワーク下での日々の従業員の管理業務、申請/契約手続きの変更業務、インターネット上の情報の集約、紙からの情報読取の自動化などを、いずれも数日といった短期間で稼働させることができる。
第二波の到来に備えて、いままで人が行っていた基幹業務の50%以上を自動化させ、再びテレワークになっても基幹業務が回るようにしておくことが、企業の事業継続対策を考える上でも重要な要素となってくる。自動化はどんな方法でもよいのだが、比較的短期に実装するのであれば、信頼のおけるサーバ型RPAを使ってリモートから実行できるようにしておくと、今後の突発的な業務にも対応することができ、ビジネスの回復力 (レジリエンス)を確保するうえでも重宝するだろう。
※1 ITR 「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」2020年5月
※2 オートメーション・エニウェア社調べ