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2020年版 グローバルRPAベンダーの動向~さまざまな評価機関による評価のまとめ

2020/08/14 コラム, スライダー



 グローバルに展開するRPAソフトベンダーはさまざまな調査会社の評価を受けている。評価される内容はビジョンの完全性、実行能力、市場シェアなど多岐にわたる。これらの調査会社のレポートの上位に名を連ねるRPAベンダーは顧客や調査会社からのさまざまな評価に耐えて切磋琢磨を重ね、より良い製品を世に出していくことになる。この記事ではこの1年でどのような調査会社がどのRPAベンダーにどのような評価をしているかについて概要を見ていくことにする。

 

調査会社の一覧

 この記事では以下の調査を取り上げる。

 同様のフレームワークを提供している調査会社は他にもいくつかあるが、1年以上前の結果は除外している。

 

いずれの調査もUiPathAutomation Anywhere2強が先行

 4つの調査を見てみると、いずれもUiPathAutomation Anywhere2社が2強として突出していることがわかる。たとえば、20208月の最新のETRによるNet Scoreの調査だ。Net Scoreは前回調査期間 (最新では2020年上半期)に比べて今回 (2020年下半期)のそのベンダーに対する支出が増大するかを問う指標で、大きいほど将来の購入モメンタムが上がる可能性が高い。ここでは傾向としてUiPathAutomation Anywhereと、Blue PrismPegasystemでは傾向が異なっている。

ETR RPA NetScore JUL20 (出典: ETR) 

 

 市場シェアの方は各ベンダーのNが少ないものは精度が出ないため、大まかな傾向のみとなるが、やはり先述の2社が上位に来ている。

 

ETR RPA Market Share JUL20 (出典: ETR)

 

 新規に登場したMicrosoftはこの調査では2位につけている。今後の動きが注目される。

 2020年7月のGartnerの調査でも、ビジョンの完全性と実行能力をあらわすマジック・クアドラントにおいて、UiPathAutomation AnywhereBlue PrismWorkFusion4社がLeaderポジションに位置付けられた。薄いマークと黄色い矢印は2018年の調査からのポジションの移動を表している。前回の調査と比べて右上に移動しているベンダーは多くない。Leaderポジションで右上に大きく伸ばしているのはAutomation Anywhereのみである。ビジョンの完全性において強力でユニークなビジョンを持つという評価でMicrosoft (Power Automate) Pegasystemが右に出てきているのも注目される。

 

Gartner RPA Magic Quadrant 2020, 2019 (出典: Gartner)

 ちなみに、グローバルの調査には日本のベンダーは通常は登場しないがGartnerの調査では唯一NTT (WinActor)が特定市場指向型 (ニッチプレイヤー)としてランクインしている。主に日本市場でのみ販売されているがこの1年でポジションは上の方に大きく移動した。しかし「どのように市場の力を利用して、顧客のために価値を生み出し、自社に機会を創出できるのか、ということに対するベンダーの理解」という意味のビジョンの完全性においては他の主要RPAベンダーに大きく後れを取っている。

 Forrester ResearchとEverest Groupの調査結果については、少し古くなるので参考程度で引用するが、傾向は同じである。

 

The Forrester Wave RPA 2019 Q4 (出典: Forrester Research)

Everest Group RPA Peak Matrix (出典: Everest Group)

 

 このように、複数の調査会社による複数の指標で比べてみると、各RPAベンダーの相対的なポジションについて、より信頼度の高い情報を得ることができるだろう。