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RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション) とは何か?

2020/06/17 コラム, スライダー



 2017年初頭くらいからRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:Robotic Process Automation)を導入する企業が増えている。日本における企業のRPA導入率は38%、大手企業に限定すると51%に達している※。RPAは今までの自動化と何が違うのか?また、日本はRPA導入の先進国ともいわれるがなぜそうなのか?この記事ではこのような疑問に答えながらRPAについて理解を深めていく。

 

RPAが必要とされる社会背景

日本は世界一の少子高齢化先進国

 日本で特にRPAのニーズが高い理由の一つに挙げられているのが、世界でも類を見ない程速く進んでいる少子高齢化である。これにより労働力人口が減少し、近い将来にさまざまな業種で労働力の確保が難しくなっていくと予測されている。特に、薄給で単純作業を行うジャンルは採用が難しくなる。これはパソコンを使ったホワイトカラーの業務も例外ではない。

 一方、パソコンなどのIT機器が職場に普及し、自動化できる業務は増えてきているものの、業種、組織ごとに業務のやり方は細かく違うため、パッケージソフトウェアやそのカスタマイズだけで必ずしもカバーできず、比較的単純な作業であっても人間がパソコンで作業をしている業務が少なからず存在しているという現実もある。

 

現場主導型の仕事のやり方がデスクトップ型RPA導入との親和性があった

 また、日本は欧米と異なり業務のやり方の決定権は経営陣ではなく現場が握っている場合が多いといわれている。そのため、組織毎に業務のやり方が異なっており、欧米で過去に行われてきたトップダウン型の業務改革が行いづらく、長らく改革がされないまま2030年前の業務のやり方がそのまま受け継がれてきてしまっていた。その間に欧米ではパッケージソフトウェアの導入を含めたトップダウンの自動化が進んだ。

 日本の現場は最新の業務改革の流れから取り残されていたわけだが、現場主導でIT化ができる可能性があるツールとして、現場でも簡単に扱えるツールであるRPAが一躍脚光を浴びることになる。特に、パソコンが一台あればすぐに導入が可能な「デスクトップ型RPA」と呼ばれるタイプのRPA2017年初頭頃から好んで導入され始めることになる。これにより、日本では欧米に先んじてRPAの導入が進んだといわれている。

 

失敗しないRPA導入のために—RPAの種類とそれぞれのメリット・デメリットを知る

 

RPAは何ができるのか、通常の自動化と何が違うのか

RPAは画面操作が特徴

 RPAという自動化の手法を特徴づける要素は「人間が行うパソコンの画面操作を、人間の代わりにロボットがやるかのように模倣し、ロボットが実行する」ことである。ロボットといっても、金属製の機械ではなくソフトウェアロボット (Bot)という、パソコンの中のプログラムである。

 パソコンを使った従来からある自動化手法では、アプリケーションをコーディングしたり、アプリケーション同士をAPIで統合したりといったことをデベロッパーやIT管理者などの専門家が長い時間をかけて準備をしたうえで現場の人間が取り組むものである。RPAはこれらの自動化と違って、IT専門家でなくても現場の従業員が自動化のしくみを構築できるのが特徴だ。

 

RPAは現場でも扱いやすく短期間で実装ができる

 なぜRPAがプログラミングのできない現場の従業員でも使えるかというと、プログラミング言語の代わりに「ノーコード」「ローコード」と呼ばれるビジュアルなフローチャートをマウスで構築して行ったり、作業のレコーディングでフローチャートを構築したりすることができるからだ。

 また、あらかじめよく使われる複雑な手順は、フローチャートの部品として提供されているため、自動化の構想を計画してから比較的短時間、典型的には数日程度で運用にまでこぎつけることが可能だ。突発的な自動化のニーズが発生した際にも、IT専門家に頼らずに現場にて短時間で自動化を実現できてしまうのは今までにないしくみであろう。

 

RPAが得意とする業務の種類

 RPAが得意とする業務は、手順が決められていて繰り返し行うパソコン上での定型作業である。その基本は、ファイルの開閉、データの転記や集計、データの収集、データの突合、ファイルのPDF化、ファイルのダウンロードやアップロード、ファイルの移動、メール配信といったことで、これらは既にコマンドとして用意されており、それらの作業をビジュアルにフローチャートを組み合わせることで「Bot」を構築し自動的に処理させる。

 さらに、高度な機能をもつRPAは「デジタルワークフォース」「インテリジェントオートメーション」や「ハイパーオートメーション」とも呼ばれ、人が行っていた定型作業とその周辺の非定型業務の一部をAIや機械学習でカバーして、人がより人間らしい業務に集中できるよう、単純作業から解放してくれる。

 

インテリジェントオートメーション、ハイパーオートメーションとは

 

RPAで実施できる業務の事例

 以下で、具体例を紹介しながら、どのような業務で活かせるのかをみていこう。

 

メールで送られてくるExcelを転記して集約

 社内の各部署から送られてくるExcelシートを取りまとめ、別のシートにコピー&ペーストして一覧表にしたり集計したりするといった業務は、さまざまな企業で行われているだろう。会議で使う資料のため、残業や早出をしなければ間に合わないといった話もよく聞く話だ。こうした業務は単純な作業ながら手間がかかるし、またコピペミスも許されない。

 こうした用途は、RPAの最も得意とする領域だ。あるエンジニアリング会社では、全部署からメールで送られてきたExcelの情報を集計するとともに、担当者が気になる点をまとめた指摘リストをまとめる業務に適用させ、大幅な業務効率向上を実現している。また、この会社の経理部門では、経理システム内で管理している家賃や事務所、駐車場、社宅などの情報を抽出して別のシートに転記するといったことも、Botを開発して自動化している。

 Excelは使い勝手がよいだけに、さまざまな業務の中に浸透している。まわりをみわたせば、RPAを導入することで効率化できる業務が数多くあるだろう。たとえ30分、1時間という短時間であっても、RPA化することでミスのない正確な処理が行え、その間は別の作業を進められることは大きなメリットになる。

 

 

ExcelのマクロをRPAに置き換える

 マクロを使ってExcelをより高度に業務活用しているケースも多い。こうした作業をRPAに置き換える場合も少なくない。その理由として挙げられるのが、マクロを作成した担当者が異動や退職でいなくなり、変更や修正が難しいということだ。多くのRPAソフトは専門知識がなくても容易に開発でき、最初に開発した者でなくても変更や修正がしやすいというメリットがある。

 また、マクロはExcel内の操作しかできないが、RPAは他のシステムとの連携も可能である。例えば、Excelに記載された情報の中に一定の条件を満たしたデータがあると、自動的に特定の相手にメールで連絡をするといったことも可能になる。

 マクロを使ってExcelをより高度に業務活用しているケースも多い。こうした作業をRPAに置き換える場合も少なくない。その理由として挙げられるのが、マクロを作成した担当者が異動や退職でいなくなり、変更や修正が難しいということだ。多くのRPAソフトは専門知識がなくても容易に開発でき、最初に開発した者でなくても変更や修正がしやすいというメリットがある。

 

RPAとマクロ/VBAの違いは?

 

基幹システムへの入力や、データ取り込み

 RPAは基幹システムなど他の企業内システムの操作を自動化させることもできる。操作ミスを起こしたくない、手作業は不安で慎重に操作するため時間がかかってしまう、という場合にはうってつけだ。

 例えば、前日の営業実績データを基幹システムから読み込んでExcelで加工し、それを関係者用にレポートを作成するといった業務は一般的な行われるが、こうした業務をRPAで自動化しておけば、手作業でレポート作成するといった負担がなくなる。

 ある大手企業の人事総務部門では、半年に1度行われる約5000人の社員の査定調書作成時に、各種システムの社員情報や勤怠データなどの様々なデータを収集し、それらのデータから査定調書を作成する基幹システムへの入力や、データ取り込み作業をRPAで行っている。

 

業務プロセス自体をRPAで自動化する

 さらに、業務プロセス自体を自動化するケースも増えてきている。例えば、ある機械メーカーが自動化した業務プロセスや企画は、市場情報に関するレポート作成や商品化計画の配信 ・設計などに始まり、発注システムへの転記や請求書突合、標準原価設定や設計変更データ転記、在庫管理や販売予測変更連絡、受注登録や販売実績集約、問い合わせ状況棚卸・保守更新見積送付など多岐にわたる。このように、RPAをより幅広い業務に適用させ、数百単位のBotを開発し、年間数万時間以上を削減するといったケースも珍しくない。

 また、製品ライフサイクル管理(PLM)システムなど、複雑で大量の操作回数が必要なツールの運用にRPAを適用させる例もある。PLMシステムの運用では煩雑な登録や変更作業が頻繁に発生し、しかも特定の時期にそうした作業が集中してしまうことが多い。PLMシステムのような基幹系業務で利用するシステム運用の自動化は、汎用的なRPA製品では難しいと考えられていたが、昨今のRPA製品は接続性能が高く、大型システムにも連携もしやすくなっている。

 

RPA導入のポイントと今後のトレンドは?

 大きな効果を得るためのポイントは、個人の身の回りの業務の自動化に終始するのではなく、全社で見たときに多くの従業員が共通で行っている「大きな業務」を自動化することだ。また、部門ごとに少しずつやり方が違う場合は、標準化をして取り組むのも手だ。少し時間をかかるが、1年もすると大きな効果が期待できる。

 RPAはさらに今後は、RPAだけではなく、AIなど他のツールと組み合わせた使い方も一般的になるだろう。例えば、手書きの紙文書を自動的に取り込めるようAI-OCRを導入し、現行の手作業による転記作業を効率化したり、分岐や例外処理が多い業務についてRPAとルールエンジンを組み合わせたりする取り組みだ。実はRPAと組み合わせたい業務の半分以上で登場する「紙のデジタル化」も、業務全体の効率化には重要なポイントで注目度が上がっている。RPAと「紙のデジタル化」を同一プラットフォームで扱えることも今後重要になっていくだろう。

 さらに、最近はRPAの提供をクラウドから行ってしまい、インストール作業が不要で高機能な製品を低価格で利用できる仕組みも出始めてきている。

 

2020年代のRPAのトレンド~業務アプリ、機械学習、人間を協業させて効率性を追求

 

代表的なRPAツール

 日本で利用可能なRPAツールは、ざっと30以上は存在する。国産ツールやグローバルツールが入り乱れた状態となっており、すべてのRPAツールに目を通すことは難しくなっている。シェアが大きい以下の主要な6つのツールを覚えておけばよいだろう。

  • WinActor (ウィンアクター): NTT-AT (アドバンステクノロジー)NTTデータが提供する純国産のRPAソフト。
  • UiPath (ユーアイパス): 米国に本社を置く同名の企業が提供するRPAソフト。
  • BizRobo! (ビズロボ): RPAテクノロジーズが提供するRPAソフトで米国KofaxOEM
  • Automation Anywhere (オートメーションエニウェア): 米国に本社を置く同名の企業が提供するRPAソフト。
  • Blue Prism (ブループリズム): 英国に本社を置く同名のRPAの老舗企業が提供するRPAソフト。RPAという言葉を発明した企業といわれている。
  • Power Automate (パワーオートメイト): マイクロソフトが提供するDynamics製品群/Power Platform製品群の一部。RPAにも参入。

 

2020年版 6大RPAソフトウェアの徹底比較

 

 RPA利用の手法やRPAツールは常に進化を続けている。最新の情報などをチェックしておくことで、これまで効率化は難しいと思っていた業務でも、自動化の道筋が見えてくるはずだ。

 

MM総研、『RPA国内利用動向調査2020