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インテリジェントオートメーション、ハイパーオートメーションとは

2020/08/28 コラム



 RPAに関連して、似たような言葉を聞いたことがあるだろう。「インテリジェントオートメーション」(Intelligent Automation)「インテリジェントプロセスオートメーション」 (Intelligent Process Automation)「ハイパーオートメーション」(Hyperautomation)「コグニティブオートメーション」(Cognitive Automation)などという言葉である。この記事ではこれらの言葉が意味する所を紐解いてみよう。

インテリジェントオートメーションとは

 この言葉は「Accenture Technology Vision 2016」における5つのテクノロジートレンドでも取り上げられている※1。定義を引用すると以下の通りである。ただし、この言葉自体はだいぶ昔から存在しているようで、Google Trendを見ても2016年よりも昔から検索されており、かつこの後出てくる他の用語よりもメジャーである。「インテリジェントプロセスオートメーション」と呼ばれることもある。

 インテリジェントオートメーションは、AIやロボットの支援によってシステム、データ、およびひとを撚り交ぜ、散在するシステムから大規模のデータを収集してビジネスを変革する新世代のソリューションです。すでに業界をリードする多くの企業がAIやロボットの活用により自動化を進め、ひととは異なるスキルを持つ機械がひとと協働することでビジネスを抜本的に変革する取り組みに着手しています。

ハイパーオートメーションとは

 この言葉はGartner201910月に発表した「2020年に注目すべき戦略的テクノロジートレンドのトップ10」※2の中の最初に含まれている。発表から中身を引用すると以下の通りとなっている。

 ハイパーオートメーションは、複数の機械学習 (ML)、パッケージ・ソフトウェア、自動化ツールなどを組み合わせて一連の仕事を実行する概念と実装です。ここでは、ツールセットの幅広さだけを議論するのではなく、自動化のあらゆる手順 (発見、分析、設計、自動化、測定、モニタリング、再評価) を考える必要があります。すなわち、ハイパーオートメーションでは、自動化メカニズムの範囲や、そうしたメカニズムがどのように相互に関連し、それらをどのように組み合わせて調整できるかを理解することが重要です。

 このトレンドは、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) から始まっています。しかし、RPAだけではハイパーオートメーションとはいえません。ハイパーオートメーションでは、ツールの組み合わせによって、人がタスクに関与している部分を模倣できるよう支援することが必要になります。

 

コグニティブオートメーションとは

 「コグニティブ」という単語は日本語で「認知」を意味する言葉である。認知は「(人間などが)外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程」であり、人工知能の一分野である。画像認識、音声認識をはじめとする応用分野があり、これは2011年にIBMWatson製品群を投入したころからしきりに使い始めた言葉でもある※3

コグニティブオートメーションとは

 自動化との関連については、任視した結果をもとに自動化 (RPA) に応用するというRPA x AIのコンテキストで「コグニティブオートメーション」という言葉も2017年くらいから使われだしてきているようだ。また、日本でも経済産業省が定義している「RPA3つのクラス」のうち、最上位の(目指すべき)実装がコグニティブオートメーションとなっている。

クラス 主な業務範囲 具体的な作業範囲や利用技術
クラス1
RPA
Robotic Process Automation
定型業務の
自動化
  • 情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業
クラス2
EPA
Enhanced Process Automation
一部非定型業務の自動化
  • RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化
  • 自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載
  • 非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能
クラス3
CA
Cognitive Automation
高度な自律化
  • プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化するとともに、意思決定
  • ディープラーニングや自然言語処理

 

それぞれの概念の違いは?

 「インテリジェントオートメーション」「インテリジェントプロセスオートメーション」 「ハイパーオートメーション」「コグニティブオートメーション」のそれぞれの細かい定義にこだわることはあまり意味がないだろう。発表された時期と言い出した人が違うだけで、どの概念もRPA x AIにより単純な定型的な自動化ではなく、人間が行っているような高度な自動化を行えることを目指すビジョンである。

 

 いずれにしても、単純な自動化だけでカバーできる範囲は限られており、より効率をあげるにはAIの機能を取り入れたRPA x AIのしくみを実現することが不可欠である。そのような仕組みを実現できる能力のあるRPAベンダーの動きに今後も注目したい。

 

1 アクセンチュアが考えるNew ITとインテリジェントオートメーションデジタル時代に押さえておきたい5つのテクノロジートレンド

2 ガートナー、2020年の戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表, 2019年10月

3 コグニティブって知ってる?AIとは違うIBMの目指す世界とは, IBM THINK Business

4 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上), 経済産業省