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【講演レポート】事例紹介~IQ Botを活用した請求支払いチェックのすゝめ

2020/12/09 コラム, 導入事例



 石川県に本社を構えるシステムインテグレーション・コンサルティングサービスを提供する株式会社システムサポートは、1016日に行われたオンラインイベントリレー2020 Autumnウェビナーで、毎月発生する支払業務自動化の社内事例を紹介した。

毎月発生する支払業務が担当者の負担になっていた

 システムサポート西村氏は、社内で管理部門から「毎月発生する支払業務を自動化できないか」という依頼を受けた。各拠点から集まってくる請求書の数が膨大で、担当者は間違いがないか確認するだけで1日が終わってしまい、かつ間違いを見落とすと相手企業にも迷惑が掛かってしまうため担当者の精神的な負担も大きいということだった。


システムサポート西村氏

 業務のヒアリングを行ったところ特徴が見えてきたという。業務は大きく分けて2つ、各事業部で経理システムに入力している作業のミス発生と、本社で行っている請求書と支払い依頼書の突合作業だ。

 各事業部では、請求書原本の経理システムへの入力作業において10件に1件の割合でイレギュラー処理が発生。しかも修正は締め日の翌営業日の正午までに完了しなければならないということで、修正期限が短い。月初はこのためにかなり振り回されるという。一方、本社では多種多様なパターンの請求書、毎月400社、約1000件の請求書が送られてくる。これらすべての目視チェックを1営業日で完了する必要がある。3人でフル稼働しても残業になるくらいボリュームが増えているという。

 

2つのフェーズに分けてプロジェクトを開始

 西村氏はヒアリングの結果、自動化する範囲とフェーズを以下の2つにわけてRPAOCRソリューションを使って自動化に取り組むことにしたという。

 

フェーズ1:

  • 請求書などの半構造化データの構造化 (OCR)
  • 請求書データと支払依頼書 (経理システム)の突合

 

フェーズ2:

  • 支払依頼書 (経理システム)への入力

 そして、関係者の役割を整理し、RPAが必ずしも得意でない仕訳など商習慣に伴う判断 (経験に基づく判断) は、現状通り従業員がチェックすることにした。

 

会社ごとに異なる請求書パターンをIQ Botで自動分類して読み取る

 請求書を電子データ化するOCRを使って読み取る際に課題になるのが、会社ごとに異なる400通りのパターンがあるため、定型フォーマットを認識することを得意とする通常のAI-OCRでは対応が難しく、設定もそれぞれのパターンで行う必要があるということであった。このようなケースに役立つのがAutomation Anywhereが提供しているIQ Botと呼ばれるソリューションだ。

 

IQ Botの特長

 IQ Botの特長として、「構造化されていないイメージデータを文字データに変換し、構造化データとして出力できる」「AIにより多彩なパターンの帳票フォーマットを認識、自動分類できる」「複数のOCRエンジンを内蔵し、最適なエンジンを選択可能」といったことが挙げられる。IQ BotAI機能を使うと、人の訂正結果を学習し、読み取り精度を継続的に向上させることが可能だ。

学習インスタンスの設定

 IQ Botを利用するには、まず読み込みたい請求書のパターンをIQ Botに覚えさせる作業が必要だ。サンプルとなる請求書をIQ Botにアップロードすることになる。これは「学習インスタンス」を作成する作業に当たる。出力をCSVで行う際に、出力したい項目名 (会社名、請求書No、請求書日付、小計など)や繰り返し項目がある明細表の項目を設定し、サンプルの分析を開始することになる。

 分析が完了するとマッピングの確認画面となる。IQ Botの画面で、設定した項目名とフィールド値があっているかどうかを目視確認、間違っていれば訂正する。画面を進めると抽出結果を表示すると、サンプルから読み取った値が表示されるので、間違っていれば訂正する。

RPAと組み合わせて展開する

 これを繰り返していくと学習インスタンスの作成が完了する。完成した学習インスタンスをRPAと組み合わせて展開することで、400種類にも及ぶ請求書の読み取り業務が自動化され、CSVに出力できる。その後、CSVのデータに間違いがないかどうかもRPAがチェックする仕組みが走る。イレギュラーな対応が必要であれば担当者にメールが送信される。

 また、RPAが経理システムを起動してシステムにログインし、入力作業も自動化することができる。そして経理システムに登録された値と請求書データを突合して間違いがないかどうかを確認し、担当者に報告メールを送る。

 

導入効果

 RPAが導入されたことにより、担当者はイレギュラーなケースについて報告を受けた際に修正、最終確認をするのみで良くなった。そのため、請求書チェックに要した時間、人員は、当初3人で合計24時間かかっていたのが、自動化後は1人が3時間でできるようになった。つまりかかる工数は1/8となった。あわせて、手作業による突合作業がなくなり担当者の精神的な負担もなくなったという。

 

最後に

 システムサポートでは、他社のRPAからAutomation Anywhereへの移行をご支援する、RPAマイグレーションサービスも行っている。Automation Anywhereの認定技術者が支援をする。

 

問い合わせ先:

株式会社システムサポート
ビジネスシステムソリューション事業部
Mail: aa-info@sts-inc.co.jp
TEL: 03-3342-9619 (RPA担当宛)
受付時間 10:00-17:00 月~金 (祝日、休業日を除く)

 

 

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