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【講演レポート】経営層から見たRPAプロジェクトの真の成功とは/RPA内製化までのロードマップ

2021/01/13 コラム



 大阪市の梅田に本社を構え、企業の働き方改革をご支援するシー・システム株式会社は、1014日に行われたオンラインイベントリレー2020 Autumnウェビナーで、RPAプロジェクトの成功がどう定義されるかについて解説した。シー・システムは大阪府DX推進パートナーズにもなっている。

 

経営層と現場の意識ギャップとは

RPAは広まったが停滞、縮小している企業も

 シー・システム森下氏は、最初に1900年と1913年のニューヨーク5番街の光景を比べ、乗り物が馬車から自動車に変わったことを解説した。たった13年の間に乗り物が大きく変わったのだ。同じことが近年も起きており、2000年の電車内では新聞を広げる乗客が多かったが、2020年はほぼすべての乗客がスマホを見ているというように、社会が大きく変わった。職場でも同じであり、2000年当時は人がパソコンに入力していた単純入力業務は、2020年のいまはRPAが行ってくれる。

 RPAはかつて圧倒的スピードで広まってきたが、2019年時点で幻滅期に入っており、2020年は普及期に入ってきており、世の中で当たり前になりつつある。しかし、プロジェクトが停滞、縮小している企業もあるようであり、疑問も出てきているようだ。その原因は経営層幹部と現場の意識ギャップも一因であると森下氏は解く。

 

RPAの貢献は財務諸表と照らし合わせて説明すべし

 RPAは会社の 何に貢献をするのか。人件費削減、時間削減、生産性改善、などいろいろ言われていることはあるが、これらは現場の言葉であり、実は経営陣が最終的に見ているのは「事業性」と「組織 (人材)」のことである。「事業性」については財務諸表 (PLVSCF)で表現されることであり、これらのどの項目にかかわることなのかが明確になっている必要がある。

 RPAの最も一般的な効果は時間削減、つまり人件費の抑制 (販売費および一般管理費の項目)である。しかし、その他の項目にも貢献できるはずである。時間削減だけがKPIだと必ず限界が来てモチベーションが上がらなくなる。

 たとえばRPAで内製化を行い、外注を抑えると外注費(販売費および一般管理費の項目)が抑えられるため、これもメリットになる。経営幹部と話をするときは、現場のKPIが財務諸表のどの項目に対応しているかをよく考えて意識ギャップを埋めることが重要になる。こうすることでRPAの存在価値が上がり、真の成功につながる。

 

RPAの内製化とは

全面外注にはリスクがある

 ところで、RPAプロジェクトは、現状では外注している企業も多いようだ。シー・システム上戸氏は、RPAは内製化が理想形であり、外注することの費用面のデメリットとして「継続的な保守費用が掛かる」「環境のアップデートでロボットが動かなくなると開発を再度依頼する必要がある」を挙げた。費用対効果を求めてRPAを導入しているのに別の費用が掛かってしまうのである。

 外注の業務面のデメリットとしては「自動化した業務を理解している人が社内にいなくなる」「自動化のノウハウが社内に残らず業務洗い出しも外注する必要が出てくる」ということを挙げた。つまり、RPAの導入により、逆に業務のブラックボックス化が進んでしまうリスクがあるという。

 

RPA内製化の3つのハードル

 しかし、RPAの内製化は必ずしも簡単ではなく3つのハードルがあるという。各社により状況が異なるが、「技術のハードル」「社内連携のハードル」「業務分析のハードル」があり、導入初期フェーズでは3つがすべて当てはまる企業もあるようだ。

 技術のハードルについては、RPAを扱える人材がいない、RPAの使い方を社内で教育するリソースがいない、自動化はしたいけど、開発する自信がない、といったことである。これは特に初期の段階に心理的なハードルとしても存在する。

 社内連携のハードルについては、RPAを運用する方法がわからない、社内全体への拡大方法がわからない、RPAチームの組み方がわからない、といったことである。

 業務分析のハードルについては、どの業務がRPA化できるかがわからない、RPA化すべきか他のシステムでやるべきかといった業務の切り分け方がわからない、といったことだ。

 

外注と内製化のバランスを取りながらハードルを下げる

 これらのハードルが多くある導入初期フェーズでは、外注と内製化のバランスを取りながら進めていくことが大事であると上戸氏は言う。技術のハードルについては導入初期段階だけ開発依頼をして、それを手本に内製化を進めるという方法が良いという。すでに稼働確認が取れているロボットで使われているエラーハンドリングやアクションの組み方などのノウハウをサンプルとして学習しながら新しいロボットを作っていく方法である。テクニカルサポートを利用して教育コストを削減する方法もある。

 社内連携のハードルについては、初期段階だけ導入支援を依頼し、体制確立のノウハウを学ぶという解決方法が考えられる。他社の事例を学びながら行う方法もある。

 業務分析のハードルについては、自社の中で現在の業務時間やフローなどをまとめることで、自社内で業務の「見える化」を実施することで効果が出るという。見える化をすることで、いらない業務なども明確になる。また、現場とRPA開発者が密接に連携することで、何がRPAに向いているかということについて共通認識をえることが重要となる。

 この3つのハードルの中で最初に解決すべき問題は「技術のハードル」となる。最初で外注リソースをかける場合は技術のハードルを下げることに費やすことがお勧めだと、上戸氏は解説した。

 

最後に

 シー・システムでは、企業におけるRPAの内製化の支援を強力にサポートしている。費用対効果算出方法の解説、ハンズオンセミナーの実施などの「導入支援サービス」、初期の開発をサポートしてスピードアップする「開発支援サービス」、そして内製化を目的として社内でRPA開発が行えるようにRPA専属エンジニアが伴走する「質問し放題サービス」を提供している。

 

問い合わせ先:
シー・システム株式会社
RPA事業部
Email: rpa@seagp.com
TEL: 06-6136-5960

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