AI-OCR導入が約2割に、MM総研のRPA国内利用動向調査 2021

2021/02/24 ニュース



 調査会社のMM総研は14日、国内企業2,000社を対象に実施した2021年1月時点のRPAの利用状況をまとめた※。これによると年商50億円以上の導入率は37%と前年から停滞、年商50億円未満は10%、AI-OCRの導入率がRPA導入企業のうちの約2割に達したという。

年商50億円以上の企業のRPA導入率は停滞も本格活用は拡大

 調査結果では、年商50億円以上の企業の導入率 (37%) は一年前の調査結果 (38%) と大きくは変わらなかった。この要因としてMM総研では、ここ1年の企業のIT投資の優先度が新型コロナ禍でWeb会議、グループウェア、ネットワーク再構築、セキュリティなど在宅勤務の環境構築に向けられた結果、RPAの新規導入は増えなかったためだと分析している。

 ただし、37%の内訳として「本格的に活用している」が16%と、前回調査よりも5%増加しているという。また、活用部門数や業務数の変化も、47%が増えたと答えており、減ったは14%に留まっている。新型コロナ禍で、限られた従業員での業務遂行や在宅勤務での効率的な作業実現のためのRPA活用が進み、既存RPAユーザーの利用促進という観点では、新型コロナはプラスに働いているとしている。

 また、今回の調査から、新たに年商50億円未満の企業のRPA導入率も調査を始めたが、導入率は10%であり、大手の37%とは乖離が見られたという。MM総研によると、年商50億円未満の企業の導入状況の状態は、年商50億円以上における2017年中頃の状態と酷似しており、今後、RPAの導入率が大きく伸びる可能性があるとしている。

 あわせて、今後のIT投資意向については、RPAに対する投資を増やす企業は約4割いることが分かっているという。2021年度は政府の政策の後押しによりデジタルトランスフォーメーション投資促進が加速する中で、導入した新規システムと既存システムのつなぎ目をRPAが担うことも想定され、利用が拡大しそうだ。

出典: MM総研※

 

RPA導入企業の間でAI-OCRの導入が約2割まで進む 

 また、業務自動化の適用範囲を広げる取り組みとして、AI-OCRを組み合わせるケースが増えていることが調査から明らかになった。AI-OCR自体の導入率は全体で7%とまだ少ないものの、RPA導入企業に限ると15%まで上がってきており、検討中企業も50%に上っていて、間もなくキャズムを超えそうな勢いだという。

 AI-OCRソフトウェアのシェアは、AI inside社の「DX Suite」が21%で1位、NTT東日本の「AIよみと~る」が13%で2位、キヤノンITソリューションズの「Capture Brain」が12%で3位だという。ただし、「AIよみと~る」は「DX Suite」のOEM製品なので、DX Suiteのシェアが34%に達しているとみることもできる。

 

※ 「RPA国内利用動向調査 2021」(2021年1月時点)、MM総研、2021年2月発表