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Microsoft Power Automate DesktopがすべてのWindows 10ユーザーで無料で利用可能に

2021/03/03 ニュース



 遂にデスクトップ型RPAは無料になるのか?マイクロソフトは現地時間2日、年次で行われる開発者向けカンファレンス「Microsoft Ignite 2021」にあわせて、同社のRPAツール「Power Automate Desktop」がWindows 10ユーザー向けに追加費用無しで利用可能になると発表した。

Windows 10自動化の標準機能としてデスクトップ型RPAの基本機能を搭載 

 マイクロソフトは、2019年のIgniteでPower Automate (旧Microsoft Flow)にRPA機能のプレビュー版を実装することを発表、翌2020年にはSoftmotive/WinAutomationを買収してPower Automate Desktopとしてリブランドして機能統合を行い、2020年12月に正式版としてリリースされた。

 今回のIgnite 2021のタイミングでは、Power Automate Desktopの基本機能を「Power Automate Desktop for Windows 10」としてWindows 10ユーザーに無償配布することが発表された。Windows 10ユーザーはマイクロソフトのWebサイトでモジュールをダウンロードするか、数週間以内にリリースされるWindows Insider Previewの最新版に含まれるモジュールを使うことができる。

出典: マイクロソフト

Windows 10の標準の自動化機能にノーコードの選択肢が追加された

 Windows にはいままでもDOSプロンプト、Power Shell、JavaScript/VBScriptなどの自動化機能が無償で搭載されていたが、いずれもITやプログラミングの知識があるユーザーがコーディングをして使うことが想定されていた。

 今回の発表は、基本的なデスクトップ型RPAの機能、つまりデスクトップ上でユーザーインターフェイス操作をノーコードで自動化できる機能もWindows 10の標準の自動化機能として搭載されたことを意味する。

 いままで自動化というとプログラマーやIT管理者のものであったが、Windowsを使っているその他のユーザーも自分が行う作業を簡単に自動化出来ることができるようになり、いわゆる「シチズンディベロッパー (市民開発者)」が活躍する領域が広がったことになる。PC上での作業を効率化したいユーザーにとっては願ってもない追加機能となるだろう。

RPAのより高度な機能やiPaaS、周辺機能を利用するために有料でアップグレードできる

 また、組織間でフローを共有する、ロボットを無人で実行する、iPaaSと呼ばれるクラウド側でのノーコード自動化ツールを利用する、自動化対象範囲を広げるための分析を行うProcess Advisor、紙の情報をデジタル化するAI Builderなどの機能を使うためには、有料のプランにアップグレードする必要がある。

 有料のエントリーレベルのプランとして「Power Automate per user plan with attended RPA」にユーザーあたり月額$15※でアップグレードできるキャンペーンが4月1日から9月30日まで実施される予定だ。

 

 Windowsの標準機能にデスクトップ型RPAの機能が搭載されたことで、今後のRPA市場の情勢にも大きな影響を与えそうだ。現在、低価格帯のデスクトップ型RPAは群雄割拠の状態であるが、この市場ではPower Automate Desktopが一気にシェアを伸ばして収束していく可能性もあるだろう。今後のPower Automate Desktopの動きに注目されたい。

 

 

※ 米国での価格