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RPAの価格感は?

2020/06/11 コラム



 RPAツールは様々な種類のものがあり、国産や海外からの製品も含め多種多様な製品が市場に出ている。売上シェアで見た主要な製品で5製品、国産の様々な製品も加えると20~30種類も存在する。また、玉石混交の類似の自動化ツールや無償のツールまで含めると、さらに多くの種類が存在する。そのため、価格帯もいくつかに分かれる。

 RPA導入の費用感を考えるときに、真っ先に思い浮かぶのはRPAツール自体の価格であるが、RPA導入にかかる費用というのは、実はそれだけではなく、シナリオの開発と展開、メンテナンスとサポート、トレーニング/教育、アセスメントやコンサルティング、インフラ費用などがかかることも忘れてはならない。ツールのライセンスにかかる費用は、ある調査※1では全体の費用の最大でも5割未満、場合によっては3割未満になってくるといわれている。ライセンスと同等以上に費用がかかるのは「シナリオの開発や展開」であり、総コストのうち45割以上を占める。

 RPA導入に際して、「ライセンス (最小価格)」と「シナリオの開発や展開・教育その他」を中心に主要なRPAツールをプロットしてみた。

1~5: 5大RPAツール

1: WinActor、1’:WinActor+WinDirector
2: UiPath、2’: UiPath+Orchestrator
3: BizRobo! mini、3’: BizRobo! Basic
4: Automation Anywhere Enterprise A2019
5: Blue Prism

全体の傾向

 市場に出ている多くのRPAツールは3つのカテゴリーに分かれる。第1群は格安のライセンス価格 (無料または年間40万円以下)で導入できるもの、第2群は年間50万円~150万円程度の最小ライセンス価格で導入できるもの、第3群は年間300万円以上するもの、である。この中で、第2群に一番多くの種類の製品が含まれ、また5大RPAツール (WinActor、UiPath、BizRobo!、Automation Anywhere、Blue Prism) も基本構成がここにすべて含まれる。そういう意味では第2群の価格帯が最小価格としては一番メジャーということになる。製品の中には月額表示で安く見せているものや初期費用を別に記載しているものもあるが、よく計算してみると第2群の価格帯になるものが多い。第1群はASTERIA Warp CoreやNICE Desktop、WorkFusion Studio、そしてRPAではないがExcelマクロやPythonをはじめとする開発言語を使う場合も分類としてはここに含まれるだろう。第3群には5大RPAツールのうちサーバー型の構成にしたものやKofax、Pegaなどが含まれる。

開発展開・教育コストその他

 縦軸は比較がとても難しいのだが、調査会社による3つのツールに関する比較※をベースに、シナリオの開発と展開、メンテナンスとサポート、トレーニング/教育、アセスメントやコンサルティング、インフラ費用などについてツール同士の相対的な位置づけを検討した。結論から言うと第2群に属するRPAツールが概してコストは低い。

 5大RPAツールはその他の製品に比べて使い勝手や機能で一歩先を行っており、展開のオプション、日本語の書籍やトレーニングの充実などでリードしている。技術的に理解が深いユーザーが1人で使っているときは気づかないことが多いが、組織内で多くのユーザーがかかわって利用する場合はツールの簡単さや、他のモジュールに頼らなくても多くのことができること、プログラミングの知識がなくても使える、書籍などをさっと見れば実装できることなど、ITリテラシーが低くても使えることが重要になってくる。たとえば日本語で書籍が販売されているのはWinActor、UiPath、BizRobo!、Automation Anywhere、WorkFusion Studio等である。

 第1群はライセンス価格は安いのだが、ツール単体ではやりたいことができない、レコーダー機能がない、プログラミングを行う必要がある、教育コンテンツがない、もしくは高度なスキルを必要とするものが多く、第2群と同等の事を行おうとするとライセンス以外のコストが大きくかかってしまう。第3群はライセンス価格も高くなってくるが、反比例して開発展開・教育コストが下がるわけではなく、むしろ大規模利用向けで第2群よりも展開が大掛かりになったり、教育コスト等があがるのが一般的である。

価格比較に関する注意点

 RPAツールの価格については、実は比較がとても難しい。なぜならライセンス体系、提供されている内容と条件が千差万別だからだ。導入できる最小単位の価格で比べている比較サイトが多いが、最小構成に含まれている内容もかなり異なる。たとえばBlue PrismはPoC中のライセンス費用は無料である。UiPathとAutomation Anywhereは中小企業、開発者、学生向けには無料のCommunity Editionを出している。また、自社の組織で使うものが必ずしも最小構成で済むとは限らず、ある程度の範囲できちんと効果を出すのであれば、最小構成ではない構成となる。(たとえば、1,000人の会社に派遣社員を1人雇用して出せる成果を想像してほしい。少なくとも数十~数百人単位で雇用しないと大きな効果が出ないのと同じである。) ここでは一般的な比較方法に倣って最小価格で比較をしているが、自社の組織で使う構成によって順番が逆転することもあり得ることは覚えておいていただきたい。

 また、WorkFusionは2020年4月21日をもって無料版Intelligent Automation Cloud Express (旧RPA Express) のダウンロードを終了した※2。すべてのユーザー向けに無料で配布しているツールは、いつでも提供終了の可能性があることは注意したい。

 

RPA導入にかかる費用と費用対効果の計算方法

 

 この記事の内容を参考にしていただきつつ、自社の組織で利用する構成に従って個別に検討してみていただくことをお勧めする。

 

 

※1 ある調査会社による調査, 2019
※2 『無料RPA Intelligent Automation~』の取り扱いについて