調査会社のガートナーは、10月に企業や組織にとって重要なインパクトを持つ「戦略的テクノロジのトップトレンド」の2021年版を発表した。2020年版から同社のトップトレンドに登場している「ハイパーオートメーション」は、2021年版でも引き続き取り上げられた※1。特にパンデミックによって、すべてが「デジタル・ファースト」であることが突然求められるようになり、企業の70%以上は、数十件のハイパーオートメーション・イニシアティブを実施するようになったという。
ハイパーオートメーションとは
「ハイパーオートメーション」は、ガートナーが2019年10月の「2020年版戦略的テクノロジのトップトレンド」の中で発表した概念で、複数の機械学習 (ML)、パッケージ・ソフトウェア、自動化ツールなどを組み合わせて一連の仕事を実行する概念と実装のことである※2。
また、ハイパーオートメーションでは、自動化メカニズムの範囲や相互の関連を踏まえたうえで、自動化のあらゆる手順 (発見、分析、設計、自動化、測定、モニタリング、再評価) を考え、実装を行うことになる。単純なRPAの領域だけではなく、ツールの組み合わせによって、人がタスクに関与している部分を模倣できるように実装する。
◆インテリジェントオートメーション、ハイパーオートメーションとは◆
いままで他の調査会社によって「インテリジェントオートメーション」「コグニティブオートメーション」と呼ばれてきた来た概念とも被る概念があり、発表された時期と言い出した人が違うだけで、どの概念もRPA x AIにより単純な定型的な自動化ではなく、人間が行っているような高度な自動化を行えることを目指すビジョンである。
主要RPAツールベンダーはハイパーオートメーションの実装を目指す
ハイパーオートメーションの特長としては、発見、分析、設計、測定、モニタリング、再評価など、自動化ツール本体以外にも周辺でさまざまな手順に対応する必要があることだろう。主要RPAツールベンダーも、自動化ツール以外に近年さまざまな「RPA連携ツール」を出してきているのはこの流れによるものだ。
その中でもUiPathとAutomation Anywhereは早々とハイパーオートメーションに対応する「RPA連携ツール」をそろえてきている。
以下に、2社が揃えているツール名と対応する手順を表にまとめてみた。
手順 | UiPath | Automation Anywhere |
発見 | Process Mining/Task Mining/Task Capture | Discovery Bot |
定型作業自動化の開発 | Studio / StudioX | Bot Editor |
非定型作業(紙) 自動化の開発 | Document Understanding | IQ Bot |
分析/測定 | Insight | Bot Insight |
モニタリング | Orchestrator | Control Room |
製品ポートフォリオとしては複雑化していくことになるが、実際に業務改革プロジェクト・自動化プロジェクトを全社的に大きな効果が出るように実施しようとすると、自動化ツール自体の課題よりもその前後の手順、つまり自動化対象業務を洗い出す手順や自動化した結果を効果分析/測定する手順での課題が大きく、全体を包括的に解決するソリューションが必要になってくるためだ。
UiPathとAutomation Anywhereの2社が先行しているが、今後の、各RPAツールベンダーの動きにも注目である。
※1 ガートナー、2021年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドを発表, 2020年11月
※2 ガートナー、2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10を発表, 2019年11月